研究情報
大阪ガス、SOECメタネーション試験装置完成、試験開始。世界最高効率のe-メタン製造技術を実用化へ(2024.6)
大阪ガス㈱は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)とともに採択された、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」の「SOECメタネーション技術革新事業」のもと開発を進めるSOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell)メタネーションのラボスケール試験装置を完成し、試験を開始した。
SOECメタネーションは、SOEC電解装置において再生可能エネルギー等を用いて水やCO2を電気分解し、生成した水素や一酸化炭素からメタン合成反応装置において触媒反応を用いてe-methane (e-メタン)を合成する技術だ。
この技術の特徴として、原料として外部水素の調達が不要で水とCO2から一気通貫でe-メタンを製造することができる。また、高温(約700~800℃)で電気分解することにより、必要な再エネ電力等を削減できる。さらにメタン合成時の排熱を有効活用できるため、従来のメタネーション(約55~60%)を大幅に上回る、約85~90%というエネルギー変換効率を実現できる可能性がある。これにより、再エネ電力等が大きな割合を占めるe-メタン製造コストの大幅な低減が期待できる。
今回製作したラボスケール試験装置のe-メタン製造能力は0.1N㎥/hで、一般家庭2戸相当のガスを製造することができる。試験においては、本装置を用いてSOECメタネーション装置を構成するSOEC電解装置やメタン合成反応装置の性能確認を行うとともに、プロセス全体の運転データの取得を行い、目標とするエネルギー変換効率を達成するための検証を進める。
更にその後、グリーンイノベーション基金事業のもと、2025年度~2027年度にベンチスケール試験(e-メタン製造規模10N㎥/h級、一般家庭約200戸相当)、2028年度~2030年度にパイロットスケール試験(同400N㎥/h級、同約1万戸相当)を進め、2030年度に世界最高レベルのエネルギー変換効率(約85~90%)を実現するe-メタン製造技術の確立を目指す。
将来的には、2031年度以降の実証フェーズを経て、2030年代後半から2040年頃の実用化を目指す。
詳しくは、→https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2024/1779066_56470.html