トピックス,エネルギー編
大王製紙、木質資源活用したバイオリファイナリー事業の推進。6月より、バイオエタノールのサンプル提供を開始(2025.5)
大王製紙㈱は、2024年に策定した長期ビジョン「Daio Group Transformation 2035」の通り、木質資源が持つ可能性を活用した新素材事業の拡大に向け、バイオリファイナリーの早期事業化を目指した取り組みを進めている。
これまで私たちの生活は、石油から精製される化石由来の製品(オイルリファイナリー製品)によって支えられてきたが、地球温暖化対策としてCO2排出量の削減が求められており、バイオマスを原料とする化成品製造(バイオリファイナリー)への転換の必要性が高まっている。このような状況下において同社は、既存のパルプ製造技術を活かし、バイオリファイナリー事業の取り組みを推進している。同社試算では、バイオリファイナリー製造に伴うエネルギー消費量は紙製品製造時と比較し、約40%抑制でき、大幅な環境負荷低減を実現する見込みである。
2025年6月からはバイオエタノールのサンプル提供を開始し、バイオアスパラギン酸、バイオコハク酸についても順次、提供していく計画だ。現在のベンチプラントから今後はパイロットプラントへ、さらに2030年には年間数万キロリットル規模の商用設備の稼働を目指し、事業化を推進していく考えだ。
なお、本事業はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2023年度に公募 した「バイオものづくり革命推進事業」として、Green Earth Institute㈱とともに提案した「製紙産業素材を活用したバイオ燃料・樹脂原料等の商用生産に向けた研究開発・実証」の採択事業である。2024年度末のステージゲート審査において研究成果が認められ、2025年度~27年度の助成・委託事業のステージ2に進むことが決定した。
<大王製紙が取り組むバイオリファイナリー事業の特長> ●世界最大級の工場が生み出すコスト競争力と古紙の高度利用
同社の基幹工場である三島工場(愛媛県四国中央市)は、パルプ生産において単一工場としては日本最大級の規模を誇る。そのため、バイオリファイナリー事業においても高い競争力を発揮する見込みだ。また、古紙の高度利用技術を活かし、バイオリファイナリーに古紙パルプを活用することで、さらなる環境負荷低減を目指す。 ●エネルギー消費量の抑制
同社試算では、バイオエタノール製造時のエネルギー消費量は、紙製品製造時と比較し、約40%抑制可能であり、環境負荷低減に貢献する。 ●三島工場の臨海立地を活かした効率的な製品物流
バイオリファイナリーで生産した化成品原料を港湾から臨海地区に面する石油・化成品メーカーへ直接供給することが可能だ。 ●環境負荷の低い商品への展開
今後、同社品に使用する不織布や吸収体、包装用フィルムをバイオリファイナリーで製造した資材とすることで、環境負荷の低い商品として、生活者の皆さまに届けていく。