トピックス,エネルギー編
IHIプラント、マレーシア・MTCO社とパーム油製造時排水から、バイオメタン製造を共同検討(2025.5)
IHIのグループ会社である㈱IHIプラントは、マレーシアのバイオガス関連エンジニアリング会社であるMTC OREC SDN. BHD.(マレーシア セランゴール州:MTCO社)と共同で、IHIプラントの排水処理システムを活用したバイオメタン製造の検討に関する覚書を、大阪万博の会場にて締結したと発表した。
パーム油を製造する過程で生じる排水(POME)は、排水基準を満たすまで長期間にわたり池で貯留される。しかし、POMEには大量の有機物が含まれているため、自然発生的にメタンガスが生成され、大気中に温室効果ガスを放出するという問題がある。
IHIプラントは、高濃度の有機性排水処理などに利用される嫌気性排水処理システム「BIOPAQ IC」を提供しており、今後、MTCOが有する嫌気条件下で生息する微生物の働きを利用する嫌気性カバーラグーン技術を組み合わせ、POMEからのバイオガス生成を最大化する複合的な処理システムの開発を検討していく。このシステムにより生成するバイオガスは、精製および改質プロセスを経てバイオメタンに変換される。バイオメタンは、天然ガスと同等の性質でありながら化石燃料と比較して炭素原単位(Carbon Intensity)が90%以上低いエネルギー源であり、グリーン燃料としての役割にとどまらず、液化バイオメタン、バイオアンモニア、バイオメタノールといった高品質な製品群へ転換することも可能だ。
これらの取り組みにより、IHIプラントは、東南アジアの主要産業のひとつであるパーム産業のサステナビリティ(持続可能性)を高めるとともに、地球環境およびエネルギー問題の解決に貢献していく考えだ。

嫌気性排水処理システム「BIOPAQ IC」(左)、嫌気性カバーラグーン(右)
詳しくは、→https://www.ihi.co.jp/all_news/2025/resources_energy_environment/1201464_13752.html