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環境省 バイオマスプラ開発などに2019年 50億円予算要求 No.2
日本初のG20サミットに向け、低炭素化課題を統合した新プラスチック資源循環戦略づくりへ
環境省としては、この実証事業と合わせ、注力しているのが新プラスチック資源循環戦略づくりだ。来年6月わが国初のG20サミットが開催される。その議長国として低炭素化と資源循環を統合した「プラスチック資源循環新戦略」として、環境対応したプラスチックなども組み入れ、各国をリードできるような内容のものをまとめ上げていきたい考えだ。
さてここで、先に事業概要などで語られたバイオマスプラスチック、生分解性プラスチックとは何か。その定義や主な用途、課題などを見ておきたい。(環境省資料から抜粋、詳しくは日本バイオプラスチック協会ホームページ参照)
バイオマスプラスチック
・再生可能な有機資源を材料にして作られるプラスチック。
・ポリエチレンなど通常石油から製造されるものもバイオマスから製造可能。
主な用途は非食品容器包装、衣料、電機、情報機器や自動車など
生分解性プラスチック
・微生物の働きにより分解し、最終的には水と二酸化炭素に変化する。
・土壌中で分解するものと水中で分解するものがある。
主な用途は農業・土木資材や食品残渣(生ゴミ)回収袋がメインであるが、食品容器包装分野ではバイオマスプラスチックとの2極化が進んでいるという。
この両者を合わせたものがバイオプラスチックであり、両方の性質をもつものもあり、生分解性プラスチックには石油資源由来のものもある。
これらバイオプラスチックには、国際的には次のような論点もあるという。
バイオマスプラスチックにはその原料がトウモロコシやサトウキビといった食品用途と競合するため、食料不足が伝えられる地域がある中、問題とする考え方もある。また生分解性プラスチックには海洋環境中で、ほぼ分解されると評価されているものも一部あるが、多くのものは生分解されるまでに長期間かかり、長期に渡ってマイクロプラスチック化してしまうといった問題。また分解されやすくリサイクルには不向きなためリサイクルルートで他のプラスチック素材と混在するとリサイクルの阻害要因になったり、製品によってはポイ捨てを助長し、コンポストシステム、ルールの整備されていない社会ではするゴミ問題を助長する恐れもあるという。
先だって新内閣が発足し、来年6月のわが国で初のG20会合の開催の準備も加速し始めるという。「予算については年末までに集約され、来年から国会で議論される見通しです。またプラスチック問題については、G20会合に向けて低炭素化と資源循環を統合した「プラスチック資源循環新戦略」として、各国をリードできるような内容のものをまとめ上げていきたいと考えています」
近年浮上してきた廃プラスチックの国内滞留問題や海洋のマイクロプラスチック汚染の問題なども含め、技術開発支援と新しい仕組みづくりによってどのような戦略が構築されていくか注目である。