研究情報
東工大研究G、常圧下でCO2を固定化する有機合成手法開発。リンゴ酸酵素の可能性見出す(2024.6)
東京工業大学の研究チームは、好熱菌由来の生体触媒のひとつであるリンゴ酸酵素(TaME)を用いて気体二酸化炭素(CO2)を有機分子に固定する新反応を開発した。
CO2を有効利用する方法として、CO2を有機分子にカルボキシ基(-CO2H)として固定するカルボキシル反応の開発が注目されている。しかし、CO2は化学的安定性が高く、反応しにくい分子である。そのため、CO2を利用する従来の化学的なカルボキシル化反応の多くは高温・高圧を必要とし、エネルギー効率や安全性に課題があった。
本研究は、ピルビン酸とCO2の反応を触媒し、リンゴ酸を生成することが知られているリンゴ酸酵素に着目した。酵素は生体内の反応を触媒するタンパク質であり、穏やかな条件で反応を進行させることができる。本研究では好熱菌Thermoplasma acidophilum由来の頑強なリンゴ酸酵素を用いて研究を進め、37℃、常圧のCO2下という穏やかな条件下で、高収率でリンゴ酸を合成することに成功した。また、同酵素が非天然の基質であるα-ケトグルタル酸へのCO2固定化反応も触媒する事を見出した。
これらの結果により、挑戦的な有機合成反応であるCO2を用いるカルボキシル化反応の触媒としてのリンゴ酸酵素の無限の可能性が見出され、リンゴ酸酵素がCO2の有効利用技術の発展に貢献する重要な触媒であることを示唆し、持続可能な社会の発展に貢献することが期待される。
詳しくは、→https://www.titech.ac.jp/news/2024/069427
2024-06-17 | Posted in 研究情報 |