研究情報
阪大、産総研等の共同研究G、”生物が食べられる糖”を高速化学合成する新触媒技術を構築(2023.11)
大阪大学、産業技術総合研究所、㈱豊田中央研究所の共同研究グループは、“生物が食べられる糖”を中性条件下で化学合成する触媒プロセスの構築に世界で初めて成功したと発表した。
グルコースやフルクトースなどの糖は、人類の食料生産を支える基幹物質として、また化学品のバイオ生産技術における基質として極めて重要だ。一般に、糖は水とCO2を原料として光合成によって作られる。しかし、光合成、つまり農業によって糖を大量生産するには、多くの水と栄養塩(リン、窒素など)ならびに大面積の土地が必要であるため、プラネタリー・バウンダリーの観点から、その供給の持続可能性に懸念が持たれている。
今回、研究グループは、タングステン酸ナトリウムなどの金属オキソ酸塩が中性条件下における糖の合成触媒として機能することを見いだした。そして、化学合成された糖が微生物により資化されること、すなわち生物が食べることができ、またバイオ生産における原料として利用可能であることが示された。糖の化学合成は、光合成と比較して少なくとも数百倍と高速であり、水や栄養塩もほとんど必要としない。したがって将来的には、本技術がCO2を原料として“生物が食べられる”糖を高速・オンサイト生産可能なシステムへと発展し、環境調和性の高いバイオ生産技術の一層の拡大に貢献することが期待される。
詳しくは、→https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2023/pr20231108/pr20231108.html
2023-11-09 | Posted in 研究情報 |