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パナソニックHD、海洋生分解性のセルロースファイバー成形材料を開発。(2025.1)
パナソニック ホールディングス㈱ MI本部は、これまでに開発してきた植物由来のセルロースファイバーを高濃度に樹脂に混ぜ込む技術を、海洋生分解性の植物由来樹脂等へ展開し、海洋環境で完全生分解性を有する成形材料を開発したと発表した。海洋生分解性樹脂にセルロースファイバーを高濃度添加することで、優れた機械特性と海洋生分解性が両立する成形材料として開発することに成功した。また、開発した成形材料は日本バイオプラスチック協会が認証する「海洋生分解性バイオマスプラ」マークを取得済み。
昨今の海洋プラスチック問題や石油資源の枯渇・地球温暖化といった環境問題から、天然資源の効率的な利用(SDGsゴール12)や、海洋汚染の防止および大幅な削減(SDGsゴール14)が国連の開発目標として定められ、樹脂量の削減が世界的に求められている。
同社は、2015年から石油由来の樹脂量を減らす研究開発活動を開始、2019年に天然由来成分であるセルロースファイバーを55%濃度で、2021年には70%濃度(バイオマス度70%)で樹脂に混ぜ込む複合加工技術を開発、2022年3月には植物由来の樹脂を使用したバイオマス度90%以上の成形材料を開発した。また、自然界での分解特性向上という観点からは、2022年12月に、複合化技術を植物由来樹脂(ポリ乳酸)等へ展開した完全生分解性の成形材料を開発した。さらに、土壌では完全生分解性の成形材料であっても自然界の中でも微生物密度が低い海洋では分解しにくいため、自然界流出時の環境汚染リスクのさらなる低減を目指し、海洋での生分解性を実現する取り組みを進めた。混練技術、成形技術を改良し、セルロースファイバーのつなぎ部分を海洋生分解性の樹脂に置き換えることで、海洋での完全生分解性を有し、耐久性用途に使用されるポリプロピレンと同等の強度をもつ、バイオマス度100%のセルロースファイバー成形材料の開発に成功した。また、従来のkinari(セルロースファイバー55%)同様、着色自由性が高い白色の樹脂ペレット化に成功、素材そのものを褐色化させることも可能で、木質感などの高いデザイン性も実現できる。
2027年に海洋生分解性ペレットの販売を開始する見込みであり、今後、海洋生分解性セルロースファイバー成形材料の特長と優位性を活かし、家電筐体や車載機構部材、高強度とデザイン性を活かした大物家電外装や美容家電、服飾衣料品や日用品、また飲料・食品容器等への展開を進めていく。このような取り組みにより、樹脂使用量の低減を通して持続可能社会の実現に向けた企業活動を推進していく。
なお、開発した成形材料は、米国・ラスベガスで開催されるCES 2025(2025年1月7日~10日、米国太平洋時間)にて展示を行う。
詳しくは、→https://news.panasonic.com/jp/press/jn250108-8