研究情報

東大、千葉大等の研究G、肥料変換できるプラスチック機能化に成功。高分子材料の設計指針提案(2023.4)

 千葉大学、東京工業大学、東京大学の研究グループは、植物を原料とした高分子(プラスチック)の機能化手法を確立したと発表した。さらに、機能化されたプラスチックをアンモニア水で分解することで得られる分解生成物には、植物の成長を促進する肥料としての効果があることも確認した。本研究では、使用後の廃棄プラスチックを肥料として利用できる、次世代高分子材料の設計指針を提案した。

 日常生活に欠かせない高分子(プラスチック)は、そのほとんどが廃棄されており、そのリサイクル率は10%以下にとどまっている。安定した高分子は、材料として有用である一方、安定しているが故にその分解は難しくなる。また、分解性に優れた高分子はリサイクル可能である一方、強度が求められる材料として用いることは難しい。そのため「安定性」と「分解性」の相反する2つの特性を考慮した分子設計が循環型プラスチックの鍵となる。このような背景のもと、研究グループは、結合としての安定性と利用後の分解性を考慮してカーボネート結合に注目した。カーボネート結合はそのままでは安定している一方、身近な塩基であるアンモニアと反応し、肥料として働く尿素へと変換できる。先行研究では、この有機反応をポリイソソルビドという糖由来のポリマーへと適用することで、分解生成物(糖由来のモノマーと尿素の混合物)がそのまま肥料として利用できることを明らかにした。しかし、糖由来のポリマーはそのままでは脆く、材料として利用するためにその機能を改善する方法(機能化手法)の開発が求められていた。

詳しくは、→https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20230412-1.html

2023-04-15 | Posted in 研究情報 |