研究情報
日本製紙、鳥取県にスギ・ヒノキ特定母樹の採種園開設~エリートツリーの苗生産拡大に向け(2022.11)
日本製紙㈱は、CO2吸収能力が高く成長に優れ、花粉量が少ない等の特徴を持つ、エリートツリー等の苗生産事業の拡大に向け、鳥取県倉吉市にスギ・ヒノキ特定母樹の倉吉閉鎖型採種園を10月28日に竣工し、稼働した。
同社は、2022年1月までに、林業種苗法に基づくスギ種苗配布区域(国内7区域)のうち、三区(静岡県)、四区(鳥取県、広島県北部)、五区(広島県南部)、六区(大分県)の4県において、間伐等特措法に基づくスギ・ヒノキのエリートツリー等の増殖に係る特定増殖事業計画を申請し、各県で特定増殖事業者としての認定を受けた。
その後、エリートツリー等の苗生産に必要な種子や穂木を生産するため、採種園・採穂園の造成に取り組んできたが、このたび、鳥取県及び、鳥取県山林樹苗協同組合の協力を受け、本州で同社初の特定母樹採種園の開設に至った。本採種園では、外来花粉の侵入を防ぎ、特定母樹同士による確実な交配を行うため、温室を用いる閉鎖型を採用し、人工交配を行っていく。2023 年2 月から人工交配を開始し、種子の初収穫は同年10 月を見込む。得られた種子を利用し、2024年から苗木生産を開始し、同年秋以降の苗木出荷を目標にしている。今回造成した2棟の閉鎖型採種園からは最終的には年間で苗木10万本分の種子生産を行う計画で、今後更なる施設拡大も検討していく。
同社は本採種園の竣工を皮切りに、鳥取県と同じく特定増殖事業者の認定を受けた、静岡県、広島県でも2022年11月までに採種園を、大分県では2023年3月までに採穂園を順次開設していく予定。また、同社は国内に約400カ所、総面積約9万ヘクタールの社有林を保有する大規模森林所有者であり、林野庁が掲げる林業用苗に占めるエリートツリー等の割合を2030年までに3割、2050年までに9割以上を目指す方向性に沿い、社有林のエリートツリー化を掲げ、国の目標達成に貢献するとともに、自社社有林の価値の向上を図る計画だ。
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