研究情報

理研、東大、東理大の研究G、植物の器官再生の遺伝子を制御する酵素を発見(2023.3)

 東京大学、東京理科大学、理化学研究所らの共同研究グループは、植物が器官を再生させるときに、遺伝子の働きを制御するヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase 19:HDA19)の同定に成功した。

 植物は高い器官再生能力をもっている。樹木の枝を剪定した後に、新しい芽が出てきて枝が再生する。また、植物の器官の一部を切り取って挿し木・挿し芽をすると、器官が再生して個体数を増やすことができる。このように器官を再生させるには、植物ホルモンや環境刺激により、適切な場所や時間で、器官再生に関わる遺伝子の働きのONとOFFが切り替わる必要がある。しかし、どのように遺伝子のON/OFFが制御されているか、その分子メカニズムは不明なままであった。
 
 器官が再生するときに、初期に働く遺伝子、その次に働く遺伝子、そしてその次と、段階的に遺伝子発現のON/OFFを切り替えていく必要がある。そのスイッチの切り替えがうまくいかないと、器官再生が起こらない、もしくは異常な形の器官が再生される。今回、このスイッチのOFF側を制御する酵素が発見されたことで、この酵素活性を制御すれば、適切なタイミングで植物の再生を制御する道が開かれた。HDA19を人為的に制御することで、農業・園芸的に重要な植物の器官再生を制御する技術の開発が期待される。

詳しくは、→https://www.riken.jp/press/2023/20230228_1/index.html

2023-03-04 | Posted in 研究情報 |