ニュース情報/政策関連

海洋生分解性プラの実環境での生分解性実証の試験方法を定めた国際規格ISO発行。簡易化、短期間化に産総研等国内機関貢献(2025.5)

 海洋生分解性プラスチックの迅速な社会実装のため、海洋などの水環境下での生分解を実証する評価手法を規定した国際規格ISO 16636:2025が発行された。国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業/海洋生分解性に係る評価手法の確立」として、一般社団法人 日本バイオプラスチック協会(JBPA)、国立大学法人 神戸大学、国立大学法人 鹿児島大学の協力を得て、地方独立行政法人 大阪産業技術研究所、滋賀県東北部工業技術センター、広島県立総合技術研究所西部工業技術センター、愛媛県産業技術研究所紙産業技術センター、地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センターと連携して、本規格の発行に貢献した。

 この規格が有効に活用されることにより、日本のみならず諸外国での海洋生分解性プラスチック製品の普及を後押しし、市場拡大につながることが期待される。

<規格発行までの道のり>

 実海域での試験方法はすでにISO規格が発行されていたが大掛かりな試験方法であるため実施困難であり、日本での評価実績はなく、新たな試験方法が求められていた。

 産総研は、NEDO「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」(2020年度~2024年度)の取り組みを通して、海洋生分解性プラスチックの評価技術の開発を進めてきた。海水が自由に出入りするような容器に試料を設置するよう定め、海洋を浮遊する状態を模した平易な試験方法を開発した。また、浸漬による崩壊試料の回収操作は個人差が出やすいのですが、評価項目に厚みの減少速度を取り入れることで破片になるまで浸漬することなく、より短期間の浸漬で個人差のない結果が得られるようになった。

 本規格の提案はISOワーキンググループ内でも各国の多くの好意的な関心を得て審議され、簡便な手法ゆえの問題点や破片化した試料の海洋への散逸や試料表面への異物の付着などにどのように対処するかなどの課題を一つ一つ解決し、さらに、産総研海洋生分解性プラスチック標準化コンソーシアムや関係機関からの意見を取り入れて改良した上で今回の規格発行となった。

詳しくは、→https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2025/pr20250512/pr20250512.html

 

2025-05-14 | Posted in ニュース情報/政策関連 |