研究情報

東大、理研等研究G、99%水の固体なのに、水となじみにくいゲル・ゲル相分離材料を発見。(2023.11)

 東京大学、理化学研究所、北海道大学、科学技術振興機構の研究グループは、水溶性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)の網目が大量の水を保持したPEGハイドロゲルにおいて、新しい相分離現象「ゲル・ゲル相分離」(Gel‐Gel Phase Separation, GGPS)を発見したと発表した。

 ハイドロゲルは、多くの水を含む固体の材料で、ゼリーや寒天などの食品をはじめ、ソフトコンタクトレンズや止血剤などの医療機器としても用いられている私たちになじみの深い材料。ゲル・ゲル相分離は、含水率99%程度の大量の水を含む状態でゲルを効率的に作ることで誘起された。ゲル・ゲル相分離により、希薄ゲルの中に100μm程度の濃厚ゲルの繊維状網目が張り巡らされ、細胞外マトリックス類似のスポンジ構造を持つ「ゲル・ゲル相分離材料」が形成された。驚くべきことに、ゲル・ゲル相分離材料は疎水性を示した。PEGはドラッグデリバリー、組織工学、診断など多様な医学的用途に広く利用されており、その有用性から50万報を超える学術論文が出版されているが、今回発見されたような疎水性スポンジ構造の自発的な形成過程の観察例はなかった。さらに、ゲル・ゲル相分離材料をモデル動物の皮下に埋め込んだところ、周囲から細胞が入り込み、血管を含む脂肪組織が形成された。このような、特異的な生体組織親和性は従来のPEGゲルでは全く見られず、これらの結果より、生体内において細胞が入り込み、その場で組織再生を促す足場材料としての可能性が示された。

詳しくは、→https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2023-10-31-001

 

2023-11-05 | Posted in 研究情報 |