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メタンの全大気平均濃度の2021年増加量2011年以降で最大に 国立環境研究所/環境省発表 (2022.3)
国立環境研究所・環境省が宇宙航空研究開発機構と共同で運用中の温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(「いぶき」)の観測データより、メタンの全大気平均濃度の2021年の年増加量が観測開始以降で最大になったと3月10日、発表された。近年のメタン濃度上昇の原因はまだ明らかになっていないが、このような濃度上昇をもたらす要因が、将来のメタン濃度の予測やパリ協定に基づく各国の排出削減施策の実施状況の確認などにおいて、大きな問題となる可能性があるという。
<参考情報>
メタンはCO2に次ぐ地球温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスであり、IPCCの第5次評価報告書によると、その地球温暖化への寄与は同じ量のCO2の28倍になる。その主な自然発生源は湿地や白アリ等、人為発生源は、水田、家畜(牛、羊等の反すう動物)、埋め立て、化石燃料採掘・燃焼等、多岐にわたっている。他方、大気中で主にOHラジカルとの反応による消失もある。なお地表付近のメタン濃度は、18世紀頃までは 700-750 ppb の範囲で比較的安定していたが、その後人間活動によって急激に増大し、現在では1,800 ppb を超えている。
米国とEUが主導し、世界のメタンの排出量を2030年までに2020年比30%削減することを目指し、「グローバル・メタン・プレッジ」の設立が進められ、昨年のCOP26で正式に発表された。日本を含め、100を超える国と地域が参加を表明している。
詳しくは、→http://www.env.go.jp/press/110696.html