研究情報
独・スタートアップのelementarhy社、水素製造コストを大幅削減する新技術開発。H2-Age Award 2025受賞（2025.5）
革新的なグリーンテクノロジースタートアップであるドイツのelementarhy社は、ドイツ・ハンブルクで開催された水素カンファレンス「H2 National Summit」において、権威あるH2-Age Award 2025の中の「Best European Hydrogen Start-up 2025」を受賞した。同社は画期的な膜電極接合体（MEA）によって水素経済に革命をもたらし、水電解における高価な原材料の必要性を大幅に削減し、より手頃な価格の水素製造への道を切り開いたと評価された。
気候中立型の水素は、産業にとって重要なエネルギー源となり、太陽光や風力発電で発電された電力の貯蔵ソリューションとして期待されている。しかし、その生産は歴史的に見て高コストであった。水を水素と酸素に分解する装置である電解装置は、このプロセスを促進するために、金やプラチナよりもさらに希少で高価な貴金属であるイリジウムに依存している。
elementarhy社は、数十年にわたる科学研究を活用し、プラズマ技術を用いた電気分解用の費用対効果の高い革新的なMEAを開発した。この新しいMEAは、既存の方法と比較して高価なイリジウムの使用量を95%削減する。この大幅な削減により、ドイツ国内で電解装置の中央部品を25%低いコストで製造することが可能になり、水素生産全体の経済性が大幅に向上する。
elementarhy社の革新的な技術は、すべての電解装置メーカーが、原材料供給の重大な問題に対する耐性を大幅に向上させ、経済効率を高めることを可能にする。同社は、業界の主要顧客に対し、MEA交換をサービスとして提供している。
さらに、elementarhy社の技術は、現在触媒コーティングに使用されているパーフルオロ化合物およびポリフルオロ化合物（PFAS）の使用を完全に排除する。これらの「永遠の化学物質」は環境や生物に蓄積し、健康リスクをもたらすと考えられている。EUは現在、PFASの広範な禁止を検討しており、業界は緊急に代替品を模索しており、elementarhy社はそれを提供する。