トピックス,マテリアル他編
帝人、環境配慮型炭素繊維製品の新ブランド展開。リサイクル材やバイオマス材利用の2製品(2025.3)
帝人㈱は、このたび、リサイクル材などを用いた環境配慮型の炭素繊維製品ブランド「Tenax Next(テナックス ネクスト)」を立ち上げ、このブランドに関する2製品の販売を開始すると発表した。なお、帝人グループは世界最大級の複合材料の展示会「JECワールド2025」(フランス・パリ)に出展、新ブランドの製品を展示する。
炭素繊維は、「軽くて強い」素材として航空機や自動車、スポーツ用品など幅広い用途で使用されている。近年、地球温暖化問題を背景に、製品のライフサイクル全体を通じたGHGの排出量削減に貢献する製品が求められているが、幅広い用途に用いられる炭素繊維においても環境負荷の低減に繋がる持続可能な製品へのニーズが高まっている。こうした中、同社は、環境に配慮した炭素繊維製品ブランド「Tenax Next」を新たに立ち上げることとした。
新ブランド「Tenax Next」は、リサイクル材料やバイオマス材料をはじめとする環境配慮型の材料を原料に使用した炭素繊維製品のブランド。また、当ブランドの製品は環境配慮型の原料を用いながら、炭素繊維製品に求められる優れた強度や耐久性などの材料特性を有している。ブランド名は、「新世代の素材」という意味を込めており、新ブランドにおいて展開を開始する製品は、炭素繊維フィラメント糸:「Tenax Next HTS45 E23 24K」 と炭素繊維短繊維:「Tenax Next R2S 513 6mm」 の2製品。
前者製品は、再生可能エネルギーの活用や製造工程の効率化、環境配慮型の原料を用いることで、従来品と比較して製造プロセスにおけるCO2排出量を約35%削減する効果が期待できる。 同製品は、持続可能な製品の国際認証であるISCC PLUS認証に基づくマスバランス方式を適用させた環境配慮型の原料を用いた製品。この環境配慮型の原料は石油由来の原料と同等の物性を有するため、同製品は従来品と同等の物性を有している。そのため、航空宇宙や自動車といった材料認定が必要となる用途においても、従来品から当製品へ容易に切り替えることができる。
後者の製品は、炭素繊維の製造工程で発生した端材を回収のうえ、リサイクルをして生産した製品。スポーツ・レジャーや電子機器、自動車など、さまざまな用途に用いることが可能。 当製品は、製品ライフサイクルに沿ったトレーサビリティの確保に必要な情報が記録されたデジタル証明「デジタルプロダクトパスポート」に対応しており、付随するQRコードを読み込むことで、製品を構成する材料や製造過程、CO2排出量などを確認することができる。これにより、当製品が関わるサプライチェーン上の企業は、自社が製造に用いた素材が、環境負荷低減に資する製品であることを証明することができる。
詳しくは、→https://www.teijin.co.jp/news/2025/03/05/20250305_01.pdf