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バイオマス展注目した展示 DSJホールディングス PKSなどを半炭化燃料に(2019.3.11)
バイオマス展(スマートエネルギーWeek内)は2月27日~3月1日 東京ビッグサイトで開催された。石炭代替燃料、混焼用として利用が活発化してきているバイオマス燃料。インドネシア産、ベトナム産などの東南アジア産バイオマスの輸出に向けたブースが活況を呈していたが、その中から動向を追った。
YUFUKUYAエナジーはシンガポールなどのグループ会社と連携し、バイオマス発電所向け自然燃料の輸入販売を中核事業とする会社であるが、バイオマス燃料を取り巻く現況や今後の動きなどについて伺った。
「インドネシアはパーム油の生産量が東南アジアでは最も多く、付随して注目のPKS(ヤシ殻)の発生量も最も多いですね。それに次ぐのがマレーシア、タイ。木質ペレットではベトナムが国としてアカシアの植林を積極的に進めており、生産量が伸びています」
ベトナムは、本来森林資源に恵まれた国であったが、過去の戦火やその後の急速な人口増に伴った伐採が続き、森林面積が大きく減少。この影響で多くの環境被害が発生し、ベトナム政府は植林事業に注力、その中で燃焼カロリーは杉やヒノキには劣るが育成速度の比較的速い南洋産アカシアが選ばれているという。
「注目されてきたPKSについては、もともと廃棄物であったということもあり、安価ではありますが安定供給や品質の問題などもあり、コスト重視のところは別として大手企業は諸々検討した結果、ベトナム産木質ペレット、もしくは、ここには出展してきていませんが北米産に落ち着くといったところでしょうか。PKSについては、もちろん全部ではないですが、石などの異物が混入していたり、子どもが労働にかかわっている等の問題も指摘されることもあり、管理にしっかり関わっているところからの調達が必要だと思います」と事業担当者は語る。
DSJホールディングスは、バイオマス発電の燃料として注目されるPKSなどを無害化、炭化燃料にする技術を展示した。パーム油の生産過程で発生するPKSやEFB(空果房)、OPT(古木)がバイオマス発電の燃料として注目されるが、インドネシアなどの現地では深刻な問題も抱えているという。PKSには栄養分が大量に残っており、そのほとんどが処理されずに野積みで放置されていることが多く、そこにゴキブリなどの虫が大量に発生、それらを餌とするネズミ、野鳥が集まり、病原菌を拡散する原因となるという。EFB、OPTには塩素やカリウム、ナトリウムが含まれており燃やせばダイオキシンが発生し、焼却炉が損傷する問題も指摘されていた。
同社はガイア環境技術研究所と共同で、これらの原料を150~700℃で熱分解、酸素を遮断した環境で熱分解して水分とヘミセルロースを除去し、原材料に比較し高い発熱量を持つバイオマス燃料を製造する技術を開発。また、バイオマスボイラーで問題となるナトリウム、カリウム、塩素の除去技術も使いOPTやEFBの炭化製品もバイオマスボイラーでの無害使用を可能にした。
低価格であったPKSであるだけに販売価格については、「インドネシアバタム島にて昨年12月から試験的に生産を開始しました。価格については、設置した炭化装置他の設備稼働やその他実証を経て、コストを弾き出し、その上で決定する予定です」と事業担当者は語る。同社では炭化温度200℃から400℃で高発熱量レベルに達するものを「半炭化製品」と呼び、今後、バイオマス発電所や石炭火力発電所の混焼用としてニーズの高まる日本や欧州、アジアへの販売を進めていきたい考えだ。