研究情報

東工大、東農大等の研究G、光合成微生物シアノバクテリアの新奇プラスミド複製因子発見(2024.2)

 東京工業大学、東京農業大学、静岡大学、Freiburg大学の研究グループは、光合成微生物であるシアノバクテリアのプラスミド複製に関わるタンパク質CyRepXを新たに同定し、これを用いたベクターを開発したと発表した。シアノバクテリアはカーボンニュートラルな有用物質生産ホストとして期待されており、本研究で開発されたベクターはシアノバクテリアの産業利用を加速させる新たな遺伝子工学ツールとして期待できる。

 CO2を固定しつつ炭素化合物を合成する光合成微生物シアノバクテリアは、大腸菌や枯草菌などのモデル微生物とは異なり、複数の大型のプラスミドを持つ種が数多く見つかっている。プラスミドとは、微生物の細胞内に存在するDNA分子で、染色体DNAとは別のシステムで独立して複製する。プラスミドは細胞内で複製されることで維持されるが、複製機構が同じプラスミドは同じ細胞では共存できない(不和合性と呼ばれる)。シアノバクテリアが複数のプラスミドを同じ細胞に持つということは、それぞれのプラスミドの複製機構が異なっており、互いに協調しながら細胞機能を担うと考えられる。しかしながら、シアノバクテリアにおいてプラスミドの複製に関する情報は極めて限られていた。
 Synechocysti sp. PCC 6803(PCC 6803)は一番最初に全ゲノム配列情報が完全解読されたシアノバクテリアであり、主染色体の他に4つの大型プラスミド(pSYSM, pSYSX, pSYSA, pSYSG)を持つことが知られている。研究グループは、これまでにpSYSAの複製に関わる因子CyRepAを同定したが、他の大型プラスミドの複製因子は不明だった。本研究ではPCC 6803のゲノムライブラリーを用いた網羅的スクリーニングを実施し、新たに複製活性を持つ領域を2ヵ所(slr6031、slr6090遺伝子)見つけた。この2つの遺伝子は共にpSYSX上に存在しており、配列が酷似していることから同様の機能を持つホモログであると考えられた。

詳しくは、→https://www.titech.ac.jp/news/2024/068512

 

2024-02-18 | Posted in 研究情報 |