研究情報

産総研、ポリシロキサンとバイオポリマーの特性生かした複合多孔体(エアロゲル)製造法を開発(2023.7)

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)の研究グループは、ポリシロキサンと天然物由来のバイオポリマーを複合した多孔体(エアロゲル)の製造法を新規に開発したと発表した。
 この製造法は、多孔質のポリシロキサン骨格とバイオポリマー架橋体を同じ空間内で個別に形成させ、両者が数十ナノメートルのスケールで均質に複合した透明なエアロゲルの作製を可能にする。これにより、はっ水性と柔軟性の両立など、単一成分では実現できなかった機能をもつ多孔質材料を作ることができる。熱伝導率が静止空気のそれよりも低い断熱材などの開発に貢献する。
 将来の住宅や車などには、軽くて変形・加工しやすく、光を通すが熱を通さない透光型の断熱材が必要とされている。また、高度に集積が進む電子機器では、小型化に伴い効果的に熱を遮断する必要があり、既存の材料より熱伝導率の低い断熱材が欠かせない。このように、断熱材をはじめとする熱マネジメント材料へのさまざまな要求が高まり、従来の技術では対応できなくなりつつある。
 次世代の断熱材の有力候補として、エアロゲルが知られています。エアロゲルとは、約90%を超える高い空隙率で、数十ナノメートルの空孔をもつ多孔体。緻密なバルク材料やマイクロメートル孔の多孔体と異なり、超軽量、低熱伝導率、低光散乱(透明)、独特なナノ空間などの特性を示す。これらの特性を生かした断熱材を筆頭に、CO2吸着材や触媒担体など、カーボンニュートラルに貢献する機能材料として、エアロゲルは注目されている。

詳しくは、→https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2023/pr20230720_2/pr20230720_2.html

2023-07-28 | Posted in 研究情報 |