ニュース情報/政策関連

経産省、2050年CN達成に向け、ネガティブエミッション技術(NETs)の社会実装・産業化の方向性とりまとめ(2023.6)

 2050年カーボンニュートラル(CN)の達成には、大気中のCO2除去(CDR, Carbon Dioxide Removal)が必須であり、これを実現するネガティブエミッション技術(NETs)の早期の社会実装・産業化が必要だ。経済産業省は、2023年3月より「ネガティブエミッション市場創出に向けた検討会」を開催し、今回、その議論内容についてとりまとめを行った。とりまとめでは、国内外におけるNETsの技術開発動向及びビジネス動向や、削減よりもコストが高いNETsの産業化に当たって重視すべき要素等を整理し、各技術の今後の方向性やルール形成等、市場創出に向けた方針について整理を行い、公表した。

(1)NETsの現状分析・今後の方向性

 ネガティブエミッション市場創出に向けた方針を導くため、コストやポテンシャルといった技術的観点と、除去量の確認の容易さなどの導入環境的観点の、合わせて10の視点(参考)に基づいて個別技術の現状分析を行い、各技術の今後の方向性について提示した。さらに、「除去効果の把握が難しい」というNETsの特殊性を踏まえ、NETsの社会実装の鍵となる、「除去効果の確認手法が確立・認知されているか」「社会・環境への影響が把握できているか」という項目を軸に、目指すべき段階と取り組むべき具体的行動、及び各技術の位置づけについて考察を行った。

NETsの特殊性に基づいた各技術の位置づけと目標及び具体的行動

(2)ネガティブエミッション市場創出に向けた方針                                                      

 2050年CN達成のためには、避けられないCO2排出(残余排出)を相殺するための炭素除去が必要不可欠ではあるが、一般的に除去は削減よりコストが高いため、自然に導入・市場拡大が行われるものではない。一方、除去市場を早期に立ち上げることは、日本の排出削減目標の達成のみならず、国際的にも今後確実に拡大していく市場を獲得するために日本が強みを有する技術の競争力強化にも資することとなる。このため、相対的に価格の高い炭素除去市場を早期に創出することが必要だ。

 本とりまとめでは、ネガティブエミッション市場創出に向け、①欧米等の検討状況も踏まえた、市場形成の初期段階における政府支援の検討の必要性、➁CO2除去(CDR)の価値を取引するためのカーボン・クレジット(除去クレジット)の活用環境の整備と初期需要の拡大、③コベネフィット(CO2除去以外の副次的価値)も含めたビジネスモデルの推進と需要家への理解促進、④市場獲得に向けて必要なルール形成に向けた検討体制の構築、について整理を行った。

 本報告書の内容が、関係者に広く共有され、CDRの必要性やNETsについての理解が広がるとともに、官民での議論を継続することにより、NETsの産業化を実現し、ネガティブエミッション市場が活性化していくことを期待するとした。

詳しくは、→https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230628003/20230628003.html

 

2023-07-03 | Posted in ニュース情報/政策関連 |