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IATA、SAF生産能力増の中、供給源多様化の支援を提言。再生可能燃料の世界生産量、5年後に690億リットルに(2023.6)

 IATA(International Air Transport Association、国際航空運送協会) は、再生可能燃料全体の生産量が 2028 年までに少なくとも690 億リットル (5,500 万トン)の推定生産能力に達するとの見通しを6月6日、発表した。持続可能な航空燃料(SAF) は、この成長をけん引しており、新しい再生可能燃料精製所の建設と既存施設の拡張による。また、生産地域は北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域が軸になっており、広域に渡っている。

「我々は政府がSAFが公正な生産シェアを確保できるように行動する必要があり、まず、第一に、航空のエネルギー転換を支援するための生産インセンティブである。そして、SAF の生産に利用できる方法と原料をさらに多様化するための展開が必要である。これら 2 つの対策がうまく実施されれば、2028年に予想される生産レベルは、2050 年までに炭素排出実質ゼロに向けたロードマップと一致するものになると確信する」とIATA事務局長Willie Walsh氏は述べた。
 これを裏付ける動きとして、2022 年、SAF 生産量は前年比、3倍の約3億リットル(240,000 トン)に増加し、SAF 生産プロジェクトの発表は急速に増加している。確認しているところでは、30 か国の85以上の生産者が130以上の再生可能燃料プロジェクトを発表した。これらの各プロジェクトは、再生可能燃料の幅広い製品群の中で SAF を生産する予定を発表している。通常、プロジェクトの発表から商品化までに、3~5 年かかるが、2030 年まで再生可能燃料の生産について今後数年間にわたって発表される可能性がある。

 再生可能燃料の生産量が推定通り2028年までに690億リットルに達すれば、2030年までに1,000億リットル(8,000万トン)に達する軌道に乗り、そのうちの30% がSAFとなった場合、業界は2030 年までに300億リットル(2,400 万トン)のSAF 生産を達成できる可能性がある。また、SAFは、現在の持続可能性基準の範囲内で、生産の多様化が必要である。現時点では、今後5年間の将来のSAF 生産量の85%は、9 つの生産認定経路のうちの 1 つであるHEFA方式に由来すると予想されているが、廃棄物などを供給原料としているため、入手が限られている。そういったことから、IATA は、SAF の多様化を達成するための 3 つの主要な手段を掲げている。
●Alcohol-to-Jet (ATJ) や Fischer-Tropsch(FT) など、すでに認定されている 手法経路の拡張
●現在開発中のSAF生産経路の研究開発を加速
●原料・原料転換技術のスケールアップ

 これらの手段を商業化レベルまで加速するには、政府による政策リーダーシップが必要である。まず、生産者、原料供給者、オフテイカーを含む新規市場参入者の管理上、物流上、地理的な参入障壁を軽減する手段として、軸となるSAF政策が必要となる。また、新しい技術と生産施設の開発に必要な資金を確保することだ。政府はこれらの投資について、より広範な持続可能性の全体像に目を向ける必要もある。SAF は林業の余剰産物、農業残渣、都市の廃棄物、食品廃棄物等からも生産でき、これらから SAF を生産することで、環境改善への資金提供、発展途上国の経済の支援を創出、政府に長期的な投資収益を生み出す可能性がある。そしてエネルギー移行とエネルギー安全保障につながられる可能性もある。

詳しくは、→https://www.iata.org/en/pressroom/2023-releases/2023-06-06-01/

2023-06-07 | Posted in ニュース情報/政策関連 |