研究情報
産総研とダイセル、イオン液体利用の分離膜による大気中CO2が分離回収できる高性能膜開発 (2022.11)
国立研究開発法人 産業技術総合研究所・化学プロセス研究部門と、㈱ダイセルは共同で、役割の異なる2種のCO2分離用イオン液体を組み合わせ多孔質材に染み込ませることで、希薄なCO2を高い選択率で分離回収できる高性能な膜を開発した。この膜は、大気と同程度のCO2(約0.04%)のモデルガスの分離試験で、CO2をN2よりも1万倍以上速く透過させることができた。本技術を活用し、大気中のCO2を直接回収するDirect Air Capture(DAC)技術の開発を進めており、カーボンリサイクルの実現に貢献する考えだ。
数々のCO2排出源の中で、高炉や石炭火力発電所など、高濃度CO2を含む排ガスからのCO2の分離回収技術の開発が進んでいるが、カーボンニュートラルの実現には、より低濃度なCO2排出源からの分離回収も求められており、大気中からCO2を分離回収するDAC技術は、近年、欧米を中心に化学吸収法や化学吸着法を用いた技術の実証が進められている。これらの技術では、分離材料に吸収もしくは吸着させたCO2の回収に多量の熱を消費することが欠点のひとつだった。産総研とダイセルでは、原理的に熱エネルギーを必要としないCO2分離技術である、膜分離法に着目し、開発を進めた。
詳しくは、→https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2022/pr20221111/pr20221111.html
2022-11-16 | Posted in 研究情報 |