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住友化学、バイオマス原料を使用のスーパーエンプラの量産技術確立。バイオLCP事業拡大へ(2025.6)
住友化学㈱は、このたび、バイオマス原料由来のモノマーを使用した液晶ポリマー(LCP)の量産技術の確立に成功した。同社は、LCPの世界的プレーヤーとして、本技術に基づくバイオLCPの量産体制構築を加速し、2026年度中の顧客認定、27年度からの供給開始を目指す。
LCPは、耐熱性と難燃性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックの一種であり、スマートフォンなどの電子機器、自動車、OA機器など幅広い分野で用いられている。従来、その原料の多くは化石資源に由来してきたが、持続可能な社会の実現に向けて、あらゆる工業製品材料についてバイオマス原料への転換が待望されている。
今回、住友化学が技術確立に成功したバイオマス原料を使用したLCPの製造プロセスでは、製品中のバイオマス含有量が明確となる「セグリゲーション」方式を採用している。本方式は、バイオマス原料とそれ以外を完全に分離して管理するもので、バイオマス含有量を明示することが可能になる。なお、バイオマス原料とそれ以外を混合し、投入したバイオマス原料の量に応じて製品の一部にその特性を割り当てる「マスバランス」とよばれる方式もあり、同社は、それらの方式の特徴を踏まえて顧客ニーズに対応する考えだ。
サステナブルな社会の実現のためには、非化石資源の有効活用やGHG排出量削減に関する技術革新がきわめて重要である。近年、バイオテクノロジーとデジタルテクノロジーの融合による技術の急速な進歩により、合成生物学の産業利用が大きく進展している。住友化学は、総合化学メーカーとして長年培ってきた技術と、合成生物学を融合させ、従来の化学合成だけでは製造が困難な高機能製品の開発や、プロセスの省エネルギー化を目指していく考えだ。

製品イメージ(写真は既存品)
詳しくは、→https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/detail/20250612.html