研究情報

マイクロプラが含む添加剤が食物連鎖で魚類組織へ移行。北大、東京農工大研究グループ実証(2022.12)

 北海道大学、同大学北方生物圏フィールド科学センター、東京農工大学を中心とした研究グループは、魚類がマイクロプラスチックの摂取を通じて、プラスチック製品に含まれる添加剤を筋肉や肝臓などの体組織に取り込み蓄積することを、世界で初めて実証したと発表した。
 添加剤は、プラスチックが細分化されると周辺環境に溶出しやすくなる。魚類はマイクロプラスチックを海水中及び餌生物から取り込むため、その2つの経路を介して添加剤が体組織に移行・蓄積する可能性が指摘されていた。そこで、肉食性魚類シモフリカジカとその餌生物であるイサザアミ類を用いて、魚類のマイクロプラスチック摂取による添加剤の組織への移行について、両経路の相対的重要性を検証した。
 その結果、添加剤入りマイクロプラスチックを含む海水中で魚を飼育した場合及びマイクロプラスチックを含む餌生物を魚に摂食させた場合に、魚の筋肉や肝臓に添加剤が蓄積することが示された。両経路の相対的重要性は添加剤の種類や組織により異なっており、それには化学物質の特性が関連していることが示唆された。
 マイクロプラスチックを通じて魚類の体内組織に蓄積した添加剤は、食物連鎖を通じて人間を含む高次消費者の体内に濃縮され、さまざまな悪影響を与える可能性がある。それらの影響を解明するための研究のさらなる進展が期待されるとしている。

詳しくは、→https://www.hokudai.ac.jp/news/2022/12/post-1136.html及びhttps://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2022.114343

 

2022-12-24 | Posted in 研究情報 |