研究情報
ちとせG、微細藻類から100%バイオPET樹脂生産へ。新プロジェクト「PET-MATSURI」発足(2024.11)
ちとせグループは、微細藻類を原料に100%バイオPET樹脂の生産を目指す新プロジェクト「PET-MATSURI」(藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」〈MicroAlgae Towards SUstainable & Resilient Industry〉のサブプロジェクト)を発足したと発表した。本プロジェクトは、これまで技術的に困難とされてきたPET樹脂のバイオ化に挑む、世界初の試み。
「PET-MATSURI」は、現在MATSURIパートナー企業約100社のうち、既に20社以上の参画表明となっている。この取り組みでは微細藻類を用いて芳香族炭化水素を生産し、微細藻類由来のバイオPET樹脂の実現を目指す。 芳香族炭化水素はベンゼン環を基本構造とする有機化合物で、プラスチックや化学製品の原料として広く利用される物質で、芳香族炭化水素生産のバイオ化は技術的に非常に困難と考えられている。さらに、微細藻類からPET樹脂を作る過程で、他の種類の樹脂を生産できる可能性も期待されている。
PET樹脂は、ペットボトルの素材として知られているだけでなく、食品包装や化粧品容器、また衣類の繊維など幅広い用途に使用されている。OECDの試算では、2060年までに新たに約1億トンが生産されると見込まれている。PET樹脂やペットボトルといえば、リサイクルのイメージが強いが、完全なリサイクルは難しく、毎年新たな石油由来のPET樹脂が大量に生産されている。これに対し、トウモロコシやサトウキビなどを原料の一部に使用したバイオPET樹脂も既に生産されているが、これら陸上植物由来の原料には、食糧用途との競合や農地の制約といった課題がある。
微細藻類を大量に培養し、PET樹脂の原料を生産する取り組みは世界でも例がない。さらに、このように日本企業が一丸となって挑戦する取り組みは、技術革新に期待できるだけでなく、国内産業全体の競争力向上にも繋がると考えている。ちとせグループは「PET-MATSURI」を通じて、石油依存からの脱却を目指し持続可能な社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出す考えだ。
詳しくは、→https://chitose-bio.com/jp/news/7751/