研究情報

王子HDと山形大研究G、CNFを用いた燃料電池用・高分子電解質膜(PEM)を開発(2024.3)

 王子ホールディングス㈱と山形大学の研究グループは、CNFを主成分とする、燃料電池用高分子電解質膜(PEM:Polymer Electrolyte Membrane)の開発に成功したと発表した。王子ホールディングス独自のCNFとプロトン伝導性を有する微粒子を複合化したPEMを製作し、高いプロトン伝導性と膜強度を併せ持つ特異な性能を確認した。(共同で関連特許出願済み)
 開発に成功したPEMは、燃料電池に求められる高いプロトン伝導性を有しながら、木質由来のCNFを主成分とし、PFASフリーも実現した。
 脱炭素社会への転換がグローバルに進行し、世界各国の自動車に対する環境規制が強化され、電動車が急速に普及しつつある中、水素を燃料とし、走行時には水蒸気しか発生させない燃料電池自動車への期待は高く、今後、燃料電池に対する需要は高まることが予想されている。既存の燃料電池等に用いられるPEMは、フッ素を含む材料で、また石油由来の樹脂製であることから、安全面や環境面の課題が指摘されている。さらに、高プロトン伝導度を示す超強酸性材料により、電極触媒が高価かつ希少な白金に制限され、耐酸性を有する周辺材料が必須となっている。そのため、低環境負荷な材料やプロセスの適用と超強酸性に依存しないPEM材料の開発が求められている。このような背景の下、従来のPEMより低酸性材料とバイオマス素材であるセルロース材料を基盤とした新規PEM材料の開発に取り組んだ。従来のPEMの課題を解決する代替材料の開発は、燃料電池の普及拡大を加速させる技術となることが期待できる。

詳しくは、→https://www.ojiholdings.co.jp/Portals/0/resources/content/files/news/2024/JP03ck07.pdf

2024-03-09 | Posted in 研究情報 |