研究情報

日本ゼオン、名大、名大発フレンドマイクローブ3者、 微生物によるカーボンナノチューブの分解方法開発。世界初(2023.12)

 日本ゼオン㈱は、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学、名古屋大学発ベンチャーの㈱フレンドマイクローブ(名古屋市千種区)との共同研究により、カーボンナノチューブ(CNT)を微生物により効率的に分解する世界で初となる新手法を開発したと発表した。

 これまで、炭素から成る無機物のCNTは環境中で生分解されないと考えられてきたが、今回の結果はその考えを覆すものとなるとともに、CNTの環境リスク軽減に活路が見出されたことで産業利用がさらに加速することが期待される。 日本ゼオンは、①長尺 ②大比表面積 ③高純度という特長を併せ持つ単層カーボンナノチューブを開発し、2016年から徳山工場(山口県周南市)において、商業生産を開始している。 日本ゼオン、名古屋大学、フレンドマイクローブ社はCNT、特に単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の生物学的分解に焦点を当て、2019年より共同で研究開発を進めてきた。これまで、フェントン反応を用いたCNT分解の報告はされていたが、今回はその知見を活かし、Shewanella属の細菌を利用したSWCNTの効率的な生物学的分解法を開発した。Shewanella属の細菌は、無酸素条件下で鉄(Ⅲ)を鉄(Ⅱ)に還元し、有酸素条件下で酸素を過酸化水素に還元することでフェントン反応を効率的に誘導する能力がある。今回は、これをCNTの分解に応用し、90日間で56.3%を分解することが確認された。この結果は、Shewanella属によるフェントン反応が、幅広い条件下でのCNT分解に応用可能であることを示唆しており、CNTの新しい処理方法として期待される。 

詳しくは、→https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/231226.pdf

 

2023-12-28 | Posted in 研究情報 |