研究情報

インテグリカルチャーとJT/テーブルマーク社、高加工度の原料使用を抑えた基礎培地開発(2023.9)

 動物由来細胞から食品や原料などを作る「細胞農業」で持続可能な世界の実現を理念とするインテグリカルチャー㈱(東京都文京区)は、同社が発起人となり設立した細胞農業のオープンイノベーションプラットフォーム「CulNet(カルネット) コンソーシアム」において、日本たばこ産業㈱(JT)およびJTの連結子会社であるテーブルマーク㈱(東京都中央区)との共同研究により、バルク原料である酵母エキスを用いることで、高加工度の原料使用を最小限に抑えた、食品原料からなる基礎培地「I-MEM(アイメム)2.0」の開発に成功したと発表した。
 バルク原料とは、一度の製造プロセスで大量に生産・使用される原料を指す。このようなバルク原料を活用することで、生産効率が大幅に向上し、製造プロセスも短縮されるメリットがある。特に、今回開発に使用した酵母エキスは、食品産業で広く利用されており、一度に大量生産・使用を想定した原料となっている。
「I-MEM2.0」は、従来の市販の基礎培地と比べて、原料コストの大部分を占める精製度の高いアミノ酸原料の削減を実現した。これにより、原料品目数の削減とそれに伴う製造工程の削減が可能となり、製造コストの低下や、環境負荷の軽減が期待できる。

 最近の研究では、”医薬品等で想定されている精製レベルの高い原料を使用した基礎培地による細胞性食品生産は、従来の畜産による食肉生産と比べ、環境負荷が大きい”と試算され、細胞農業では環境負荷を下げられないという懸念が指摘された。この問題を解決すべく、細胞農業業界において医薬品等で使用するような高加工度の原料の使用を抑えた「バルク原料を使用した基礎培地」による環境負荷削減の可能性に注目が集まり始めている。

 

詳しくは、→https://integriculture.com/news/12869/

2023-09-24 | Posted in 研究情報 |