研究情報
名大、日揮等研究G、LNG未利用冷熱で大気中CO2回収のDAC技術確立へパイロット開発着手(2023.4)
日揮ホールディングス㈱は、国内EPC事業会社である日揮㈱が、このたび液化天然ガス(LNG)未利用冷熱を活用した大気中のCO2分離回収:DAC(Direct Air Capture)の技術確立に向けたベンチスケール(試験装置)の詳細設計を完了し、パイロット装置の開発に着手することとなったと発表した。LNGは天然ガスをマイナス162度に冷却した液体で、LNG受入基地で再ガス化する際、多くの冷熱が放出される。この冷熱は十分利用されていない一方で、動力や電力も生み出すことができるエネルギー源として近年注目を集めている。
名古屋大学などの提案が2020年8月にNEDOの委託事業「ムーンショット型研究開発事業」に採択されたことを受け、日揮は名古屋大学の再委託先として2021年11月から本事業に参画し、DACの技術開発に取り組んでいる。
本事業では、LNGの未利用冷熱をDACに活用することにより、先行技術を凌駕するエネルギー効率で高純度かつ高圧CO2の回収を可能とする技術「Cryo-DAC」(冷熱を表す「Cryogenics」の「Cryo」(クライオ)と、DACを組み合わせた造語)の確立を目指している。ベースとなる技術は、名古屋大学大学院 則永 行庸教授が開発したもので、CO2分離回収コストを低減する可能性を秘めた技術として注目されている。これまで日揮は、則永教授と共同で、年間1トンのCO2を分離回収する「Cryo-DAC」ベンチスケールの詳細設計や、本設計のための要件定義を行ってきた。本設計が2022年度末に完了したことから、年間50トンのCO2を回収するパイロット装置の開発(設計・設備コスト試算等)を進めることとなった。将来的には、装置を一層スケールアップし、2029年度末に商用プラントの概念設計が完了する計画だ。
詳しくは、→https://www.jgc.com/jp/news/2023/20230426.html