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ESA(欧州宇宙機関)、地球の森林バイオマス・炭素に関する史上最広範囲のデータを公開(2025.5)
ESA(The European Space Agency : 欧州宇宙機関)のバイオマス衛星の4月29日の打ち上げ後、軌道上での運用開始にあたり、これまでで最も広範囲にわたる衛星ベースの地上森林炭素マップを公開した。このデータセットは、約20年にわたる森林炭素貯蔵量の経時的変化を、これまでで最も鮮明に捉えた地球規模の全体像を示している。
ESA の気候変動イニシアチブを通じて開発されたこの新しい長期記録は、複数の衛星ミッションからのデータを統合しており、まもなくバイオマス ミッション自体のデータによってさらに強化される予定。
このデータは、2007年から2022年までのさまざまな年について、世界中の植物の炭素を豊富に含む木質部分(主に幹と枝)を100メートルから50キロメートルの解像度で追跡する。
また、このプロジェクトが、国連気候変動枠組条約パリ協定の一環として、気候と炭素のモデリング、森林管理、および国家の温室効果ガス報告活動をサポートするように調整されている。
ESAのFrank Martin Seifer氏は、「新しいリリース、バージョン6は、地球上の地上バイオマス推定値の提供において前例のないレベルの一貫性と適時性を提供するものであり、気候科学にとって極めて重要である。これにより、研究者や政策立案者は、意味のある気候変動対策に必要な時間的精度で炭素の動態を追跡できるようになる」と述べた。
樹木は地球規模の炭素循環において重要な役割を果たし、大量の炭素をバイオマスとして貯蔵している。森林の成長に伴いこの炭素貯蔵量は増加するが、森林伐採や山火事によって急速に大気中に放出され、CO2濃度の上昇に大きく寄与し、ひいては気候変動を促進する。
このデータセットは、ESAのEnvisat、欧州のCopernicus Sentinel-1、日本のALOS PALSAR、NASAのICESat および GEDI LIDAR ミッションなど、さまざまな地球観測衛星から収集されている。