2020-02

ISAP2020は、COVID-19の影響により延期、2021.5.23~28、つくば国際会議場で開催予定

ISAP2020(第7回国際応用藻類学会)は、2020.4.19~4.24、幕張メッセでの開催が予定されていたが、COVID-19の影響により延期し、2021.5.23~28、つくば国際会議場にて開催すると発表された。

詳しくは→ISAP2020

2020-02-29 | Posted in イベント情報 |  

 

nanotech 2020の展示から(2)ダイセル 酢酸セルロース 高生分解性製品、NEDO 人工光合成プロジェクト (2020.2.14)

 第19回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nanotech 2020)、新機能性材料展2020などが、1月29日~31日、東京ビッグサイトで開催された。前頁に記載したCNFのほか、バイオプラスチック(バイオマス、生分解性)やNEDOプロジェクトに密着した。

 

帝人(株)(大阪市北区)

 植物由来の原料を用いた非晶性バイオプラスチック「PLANEXT」を展示した。独自のポリマー改質技術と製膜技術を駆使し、耐ガソリン性と成形性を両立し、スマートエントリーシステム用のドアハンドルに対応可能な「PLANEXT」製のフィルムを2018年に開発。(株)ホンダロック(宮崎市)のスマートエントリーシステム用の ドアハンドルに採用されている。一般的なポリカーボネート(PC)樹脂と比較しても、透明性、耐候性、耐薬品性などで優れた特徴をもっており、機能性を活かした用途を開発中。「現状、バイオマス原料は可食性のものですが、25~80%を含みます。レシンでの販売がベースですが、ニーズに応じたフィルム対応も可能です」(樹脂事業本部開発マーケティング推進室)

 

(株)ダイセル(大阪市北区)

 天然素材の酢酸セルロースを、海洋での生分解性を従来比約2倍に向上させた高生分解性の新製品を開発、展示した。酢酸セルロースは、木材やコットンリンター(綿花採取後の産毛状繊維)から得られたセルロースと食酢の主成分の酢酸から作られる素材。プラスチック材料として、包装容器や繊維、液晶保護用のフィルム、化粧品などの原料として利用されている。海洋プラごみ対策ニーズの高まりを受け、酢酸セルロースのより生分解速度を速めた分子構造製品を開発した。「従来品は海洋で1年から3年程度で分解されていましたが、分解速度を高めています。この展示会では従来品を展示していますが、用途開拓を進めていきたいと考えています」(事業創出本部生産技術センター)

プラスチックなどが海洋中で分解する時間((※4)プラスチックやシガレットフィルターなどに使われる二酢酸セルロースの場合)  ダイセルホームページ資料より

 (追加情報)3月2日、同社は(株) TBM(東京都中央区)と、酢酸セルロースと石灰石を組み合わせた新素材「海洋生分解性 LIMEXライメックス(仮称)」の開発を開始したと発表した。

https://www.daicel.com/cell_ac/index.html

 

GSアライアンス(株)(兵庫県川西市)

 生分解性バイオマスプラスチックのポリ乳酸(PLA)とCNFを複合化した製品を開発、展示した。ポリ乳酸はコンポスト条件(高温、高湿度)の下では生分解するが、それ以外の土中、淡水中、海水中においてはほとんど生分解しなかった。複合化により生分解性が加速することを確認し、機械的強度も向上させた。同複合製品は、日本バイオプラスチック協会の生分解性の識別表示制度のグリーンプラ認定も取得。ポリ乳酸は透明の性質をもつが、複合材は展示サンプルの実現度。射出成形機での大量生産も可能という。

 

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

 太陽光と水とCO2からプラスチック原料を生み出す(人工光合成プロジェクト)を展示した。太陽光下、光触媒による水の分解で得た水素/酸素から水素分離膜等を用いて水素を安全に分離し、合成触媒を用いて水素とCO2から化学品原料である低級オレフィンを製造する人工光合成・化学プロセスを確立し、化石資源からの脱却や資源問題・環境問題の解決を目指すもの。NEDOは人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)と推進する。「今回のプロジェクトは大きな視点では、CCUという考え方も含んでいますが、化学合成物を作るという部分に主体が置かれています」(材料・ナノテクノロジー部)
 

 

 展示の他、NEDO主催のバイオエコノミーセミナーでは、プロジェクト成果報告として 「木質系バイオマスから各種化学品原料の一貫製造プロセスの開発」、「京都プロセスによるセルロースナノファイバー強化樹脂の開発」が発表された。また、産業領域(ものづくり領域)及びその周辺領域のイノベーションの創成、社会実装化を実現するために、昨年秋にNEDO材料・ナノテクノロジー部内にバイオエコノミー推進室の設置、また技術戦略研究センターにもバイオエコノミーユニットを設置し、技術戦略の策定とプロジェクトの立案を一体で進めていく。「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発事業」など経産省の関連の令和2年度新規概算要求事業についても紹介された。

2020-02-15 | Posted in G&Bレポート, ニュース情報/政策関連 |  

 

nanotech 2020の展示から(1)CNF市場は樹脂などと複合化展開が加速、ANPOLY社は籾殻由来CNF  (2020.2.14)

 第19回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nanotech 2020)、新機能性材料展2020などが、1月29日~31日、東京ビッグサイトで開催された。次世代のバイオマス素材として期待されるセルロースナノファイバー(CNF)特別展示エリアも設置され、研究開発段階から応用まで国内外の情報の他、関連技術を取り扱う企業の技術情報が集結した。気候変動、地球温暖化対策の加速が叫ばれる中、化石資源削減は大きな流れで、CNFはプラスチックなどとの複合化展開が大きく動き出している。プラスチックにおいては海洋プラごみ問題対策など、重大な課題となっており、環境性能という点でどのように市場を作っていくか注目される。

 

王子ホールディングス(株)(東京都中央区)

 CNFスラリー(アウロ・ヴィスコ)、CNF透明シート(アウロ・ヴェール)などを展示した。同社独自のリン酸エステル化法によって、CNF表面にイオン性官能基であるリン酸基を導入し、CNF同士の静電反発性を高め、ナノ化を行う。高透明度、高粘度、分散性の高いCNF製造を実現している。また、物性を維持しながら、多様な有機溶剤に分散可能なパウダーCNF(疎水性)も開発、インキや塗料などの用途開発を目指す。「アウロ・ヴィスコについては、材料素材商社を通じて化粧品メーカーへの提供を行い、製品開発中です」(イノベーション推進本部 CNF創造センター)

 

ANPOLY社(韓国 浦項市)

 木材パルプから抽出したCNF(POLYCELLU)の他、稲の籾殻(husk)のセルロースから抽出したCNFを展示した。日本では木材パルプ由来のCNFが中心となっているが、農業廃棄物の籾殻にはシリカやリグニンの他、セルロースが約65%含まれており、韓国では年間約100万トン以上発生するという。同社は、革新的なバイオポリマー材料の開発を目指し、POSTECH社(韓国)の研究グループが2017年に設立した技術基盤のベンチャー企業。プラスチックなどのポリマーを代替できるナノバイオソース素材の開発に取り組んでいる。

 

大昭和紙工産業(株)(静岡県富士市)

 カラーティッシュの製造で培った染色技術を生かし開発したカラーCNFを展示した。予め、染色したパルプを原料に多様な色彩のCNFを製造できる。また、同製品を脱水、乾燥させることで、半透明のシート化することもできる。同製品は東邦電機工業(株)が販売予定のオーディのスピーカー部分に音質向上のため採用されている。今後は、色材、成型材料、インテリア材料、ステーショナリー等様々な用途開発を目指す。

 

星光PMC(株)(東京都中央区)

 CNF配合樹脂STARCELシリーズを展示した。同製品は、木材パルプに疎水変性を施して変性セルロースパウダー化、PEやPP等の熱可塑性樹脂と溶融混練することでセルロース繊維をナノレベルまでに解繊すると同時に樹脂中にCNFを均一分散させている。京都大学を中心としたNEDOプロジェクトで開発された製造法(京都プロセス:パルプ直接混練法)。(株)アシックスの高機能ランニングシューズ製品「GEL-KAYANO25」の軽量性と耐久性が求められるミッドソール部材(甲被と靴底の間の中間クッション材)の原材料の一部に採用されている。

 

丸住製紙(株)(愛媛県四国中央市)

 独自技術で開発、昨年12月特許取得した高透明度及び高粘度のスルホン化CNFを展示した。自社化学パルプをシングルナノまで微細化、セルロース分子にスルホ基を導入して、解繊処理を行う。繊維幅が均一、また攪拌など機械的刺激の有無によって、可逆的に粘度が変化する性質(チキソトロピー性)をもつ。「透明性は、業界では数社しか実現できていません。解繊処理によって繊維をバラバラにすることによって透明となるわけですが、各社の基本的な原理は同じですが、その手法が異なります。弊社の手法は、全光線透過率は99.4%というその高さが大きな特徴です」(包装用紙部)

 

モリマシナリー(岡山県美作市)

 熱可塑性樹脂向けマスターバッチ、粉体型、アルコール分散型、リグニンを含有したリグノCNFなどの他、染色CNFと熱可塑性樹脂との複合材料の展示が行われた。染色材料は顔料を使用しており、今後試作、特性調査を進めていく予定。現在、プラスチックの強化材料としては、グラスファイバーや炭素繊維が主に使われているが、CNF分散樹脂の強靭性やリサイクル性については、優位性があるという。「サーマルリサイクルでは元が木なので燃やしても有害ではありませんし、残差も灰となります。マテリアルリサイクルでは、樹脂の粉砕時にガラス繊維やカーボンファイバーは折れたり切れたりして強度が落ちるのに対して、CNFは折れたり切れたりしないため、10回程度リサイクルしても強度が下がりにくいとのデータが出ています」(セルロース開発室)

 

(株)スギノマシン(富山県魚津市)

 樹脂製造の(株)タカギセイコー(富山県高岡市)および富山県立大学(富山県射水市)と共同で開発を進めるセルロースマイクロファイバー(CMF)を展示した。従来の20~30μm程度の繊維径のCNFとは異なり、平均繊維径が数マイクロメートルサイズと太い繊維。表面のみをナノ化したマイクロサイズの繊維径とすることで、従来のCNFよりも樹脂へ添加した時の引張強度や弾性率を高め、線熱膨張率を低減させた。「コスト低減、樹脂への添加のしやすさも狙ったもので、販売時期、価格などは検討中です。また従来はBiNFi-sは水溶状態での販売でしたが、混ぜやすい粉末タイプや天然ゴム複合体なども商品化しました」(新規開発部)

 

中越パルプ工業(株)(富山県高岡市)丸紅(株)(東京都中央区)

 樹脂に分散しやすい粉末状CNF(nanoforest-PDP)を高濃度で分散させたPP複合樹脂ペレットを展示した。同製品は、出光コンポジット(株)と(株)三幸商会との共同開発により約数年前に開発したもの。複合樹脂用途にCNFパウダーや樹脂マスターバッチを提供する。CNFパウダーを配合した複合樹脂は、剛性、強度、表面硬度及び表面改質、収縮・寸法安定性などの特性向上を実現する。「今回の展示では既存製品を展示し、市場への導入対応をメインとしています。メーカー各社、石化資源を削減していかねばならないという圧力が高まっており、どのように対応していくかが鍵です。特に自動車業界へのニーズ対応には注力していく考えです」(丸紅CNF事業推進課)

 

2020-02-15 | Posted in G&Bレポート, ニュース情報/政策関連 |