トピックス,マテリアル他編
鹿島、森林の水資源を守る、高精度技術で水資源を評価し、持続可能な管理実現の技術開発(2026.3)
鹿島建設㈱は、森林が持つ地下水涵養機能(雨水や雪解け水を地中に浸透させ、地下水として蓄える機能)を科学的かつ高精度に評価する技術を開発したと発表した。この技術は、森林内に設置した計測用センサで降水量や水分蒸発散量のデータを取得し、間伐などの手入れ(森林施業)によって地下水量の豊かさが促進される効果を定量的に把握するもの。実測データを用いる手法のため高精度で、かつ森林施業の効果も対象とする汎用性の高い技術である。
同社は、地下水を利用する企業等に採取量と同量の涵養の取組みを求める熊本県において、持続可能な水資源活用を支える技術的ソリューションを提供する。また、地元自治体や森林事業者と連携し、データから得られた科学的根拠に基づく新しい森林管理への取組みも進めている。
鹿島は今後、地下水涵養に資する本技術を国内の他の自治体にも提案し、持続可能な水資源管理と地域社会への貢献を目指していく考えだ。

間伐による森林環境の改善と地下水涵養促進のイメージ
<開発の背景>
近年、気候変動による異常気象や降雨パターンの変化により、森林の水源涵養の機能である洪水リスクの軽減、水質浄化、水の安定供給の3つの役割がこれまで以上に重要視されている。
熊本県は豊富な地下水資源を有しており、特に熊本地域では地下水が水道水のほぼ全量をカバーしている。農業用水や半導体関連工場などの産業用水においても地下水が重要な役割を担っているなか、同県内では昨今の地域開発に伴い地下水使用量が増加しており、適切な地下水管理の促進が地域社会にとって重要な課題となっている。これまで同県では水田による涵養対策を展開してきたが、これに加え県面積の約6割を占める森林を活用した新たな対策が求められている。
<本技術の概要と特長>
森林の水源涵養機能を正確に把握するためには、樹木の幹を伝わる雨水量、樹木の枝葉が遮る雨水量、水分蒸発散量などを実際に現地で計測する必要がある。しかし、計測機器の精度や費用などの課題により、実測事例が限られていた。また、間伐などの森林施業が水源涵養機能に与える効果についても、これまで十分な調査が行われていなかった。同社はこれらの課題解決に向けて、以下の技術を開発した。
1)涵養量の算定に必要なデータ取得技術
新型センサによって、木の間を通過する降雨量、樹木の幹を伝わる雨水量、水分蒸発散量、土壌水分量、照度、風向・風速などの涵養量の算定に必要なデータを高精度かつ継続的に計測できるシステムを構築した。
2)涵養量の算定効率を向上させる森林構造解析技術
森林経営・活用支援をトータルサポートする当社のサービス「Forest Asset®」(フォレストアセット)を基盤に、自律飛行ドローン技術などを活用し、立木密度や樹高、胸高直径※2、開空率※3などのデータ解析技術を向上させた。これらのデータを基に森林の状態をデジタルツイン(仮想空間)として再現し、森林構造の解析を可能にした。
3)森林施業の涵養量への効果算定・シミュレーション技術
伐採など手入れの程度が異なる複数の人工林において、上記1、2で得られたデータから涵養量を算定することで、間伐などの森林施業が地下水涵養に与える効果を、高精度かつ定量的に把握することが可能となった。このデータを積み重ねることで、地下水涵養に配慮した森林管理計画や施業検討のシミュレーションを実施することができる。
