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ちとせG/MATSURI、AIデータ駆動型バイオ生産システムの推進へ「メトリクスMATSURI」始動。計測・制御等企業9社参画(2025.12)
2025年12月18日、ちとせグループが運営する、バイオエコノミーを推進する共創イニシアチブ「MATSURI」は、藻類産業の構築に続き、発酵・藻類・培養細胞・農業などバイオ生産全体の最適化・高度化を目指す新プロジェクト「メトリクスMATSURI」を発足したと発表した。
本プロジェクトは、計測・制御・エンジニアリングなど各分野に強みを持つ企業が産業を横断して連携し、ちとせが開発してきたAI自律培養制御技術を基盤技術の1つに据え、データ駆動型のバイオ生産設備を共創・実装する取り組み。この連携を通じて、バイオエコノミーを支える共通インフラの構築を目指す。
現在、アズビル㈱、㈱三ツワフロンテック、㈱堀場製作所、三菱ケミカルエンジニアリング㈱、湯本電機㈱、浜松ホトニクス㈱、㈱バイオット/㈱エイブル、三菱化工機㈱(参画順)の計9社が参画しており、今後も共に未来をつくるパートナーの参画を広く呼びかけていく考えだ。
バイオ生産は、食品・医薬品・化成品など多様な産業を支える重要なプロセスであり、バイオエコノミーの拡大により今後さらなる発展が見込まれている。しかし現場では依然として、熟練者の経験や勘に頼った制御が主流であり、再現性や生産性の向上には限界があった。こうした属人的な制御から脱却し、AIを活用して自律培養を実現する“データ駆動型のバイオ生産システム”の社会実装によりバイオ生産全体の最適化・高度化を図ることを目指すのが「メトリクスMATSURI」である。
AIを活用した自律培養の核となるのが、本プロジェクト名の由来でもある、ちとせが独自に定義した「メトリクス(Metrics)」の考え方。これは、生物の状態を新たな視点からセンシングし、得られたデータを高精度に解析・制御へ反映するAIアルゴリズムを組み合わせることで、リアルタイムな生産状態の把握と自律最適化を実現するというものである。酵母や糸状菌、細菌などの微生物や培養細胞、藻類などあらゆるバイオ生産系に適用でき、人の経験に頼らず高効率かつ安定的な生産を可能にする。
これまでちとせは、個別企業との共同研究を通じてAI自律培養制御技術の開発と実装を進めてきたが、各社ごとに技術を導入する形では対応範囲やスピードに限界があり、プラント設計や装置開発など周辺領域の専門知識を十分にカバーすることも困難であった。こうした課題を踏まえ、ちとせが運営する産業横断型の共創イニシアチブ「MATSURI」の枠組みを活用し、計測・制御・エンジニアリングなど各分野の企業との連携を強化するとともに、オープンな開発領域を設定することで多様な企業の参画を促すプラットフォームとして「メトリクスMATSURI」を発足した。
メトリクスMATSURIでは、参加する各企業の持つ技術や知見を結集し、技術開発・仕様策定・実装を横断的に推進することで、バイオ生産におけるAIデータ駆動型システムの社会実装を国内外で加速させていく。そして、バイオエコノミーを支える共通インフラとして、バイオ生産における生産技術のデファクトスタンダードの確立を目指す。
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