トピックス,エネルギー編
Nesteのロッテルダム製油所の再生可能水素の生産実証PJにて、高温電解装置の稼働に成功(2025.10)
フィンランド・Nesteのロッテルダム製油所における、再生可能水素生産を実証する先駆的な MultiPLHY プロジェクトが重要な節目に到達した。コンソーシアムのパートナーは、オランダ・ロッテルダムにあるNesteの再生可能製品精製所の産業環境で、世界最大のマルチメガワット高温電解装置 (HTE) の稼働に成功した。
このパイロットプロジェクトは、精製業界における化石水素使用量の削減における再生可能水素の実現可能性を実証するものである。化石原料から生成される水素を再生可能水素に置き換えることは、精製における温室効果ガス排出量を削減するための重要な手段の一つである。実証プロジェクトの次のステップとして、試験プログラムによりこの技術の性能特性を検証する。
MultiPLHYは、コンソーシアムパートナーであるNeste、Sunfire、CEA、ENGIEによる実証プロジェクトである。高温電解装置はドイツの電解装置メーカーSunfireが、水素処理装置(HPU)はSMSグループが提供する。Nesteは製油所の統合を担当し、Sunfireと共にユニットの運用を監督する。研究技術機関であるCEAがプロジェクトの調整を行い、ENGIEが技術経済評価を担当する。
「MultiPLHYプロジェクトは、Nesteに産業規模の再生可能水素生産を当社の製油所に統合するための貴重な知見と経験をもたらした。自社の操業における温室効果ガス排出量の削減を目指し、製油プロセスにおける化石燃料由来の水素の代替となる様々な方法を模索し続けることに尽力している。この実証プロジェクトは、バリューチェーン全体にわたる協力の重要性も示している」と、Nesteの再生可能精製担当シニアバイスプレジデント、Jukka Kanerva氏は述べている。
Nesteの精製プロセスに統合された電解装置は、Sunfire社のSOEC(固体酸化物電解セル)技術に基づいている。この高温電解装置(2.6MW)は12個の電解モジュールで構成され、850℃の高温で稼働し、毎時60kg以上の再生可能水素を生成する。熱を利用するため、この高温電解装置は、市場の他のソリューションと比較して、再生可能水素の製造に必要な電力が大幅に少なくて済む。