研究情報
米・アルゴンヌ国立研究所、有機排水をSAFに変換する新技術で、ジェット機の炭素排出量を最大70%削減(202410)
2024年10月8日、米国のアルゴンヌ国立研究所は、新しい技術により、従来のジェット燃料に比べて炭素排出量を大幅に削減するSAFが誕生したと発表した。新しい研究は、航空業界のGHG排出量を最大 70% 削減できる、コスト競争力のあるSAFを生み出す新しい技術だ。
バイオマスや農業廃棄物などの再生可能な材料から作られるSAFは、航空業界の脱炭素化に大きな可能性を秘めているが、広範囲にわたる導入はまだ始まっていない。 SAFは、航空業界で使用される燃料の1% 未満を占める一方、航空燃料は世界のGHG排出量の約 3% を占めている。化石ベースのジェット燃料よりもエネルギー効率が高く、安価で、コスト競争力のあるSAFを生産することは、広範な商業利用にとって重要である。
現在、米国エネルギー省(DOE)のアルゴンヌ国立研究所の科学者らは、航空業界のGHG排出量を最大70%削減できるコスト競争力のあるSAFを生み出す新しい技術を開発、アルゴンヌのライフサイクルおよび技術経済モデルは、SAFの環境影響と経済的実現可能性の分析に使用された。
新たな研究によると、新しいメタン停止型嫌気性消化(MAAD)技術により、高濃度有機廃水が揮発性脂肪酸に変換され、SAFにアップグレードできるという。アルゴンヌ国立研究所のポスドク研究員Haoran Wu氏は、「 SAF製造の重要な前駆物質として、揮発性脂肪酸は航空業界の脱炭素化に重要な役割を果たす可能性がある」と述べた。
「廃棄物から得られる揮発性脂肪酸は、バイオ燃料生産をより費用対効果が高く、持続可能なものにすることができる」とHaoran Wu氏は語った。「アルゴンヌの斬新な技術は、膜支援バイオリアクターを使用して揮発性脂肪酸の生産を強化する」
この研究は、2030年までにSAFの生産量を30億ガロンに増やすことを目標とするDOEの持続可能な航空燃料グランドチャレンジで概説された目標を推進するものである。目標は、2050年までに商用ジェット燃料の需要の100%を満たすのに十分な燃料を生産することである。