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経産省・JOGMEC、CCS事業化への先進的取り組み発表。9案件候補選定し、2030年度までの開始へ(2024.6)
経済産業省・JOGMECは、2024年3月8日から4月5日に「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する委託調査業務の公募を行い、厳正な審査の結果、9案件(国内貯留5案件、海外貯留4案件)を候補として選定した。JOGMECは、二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留する技術「CCS」について、「CCSバリューチェーンにおける設計作業」及び試掘調査等を行う「CO2貯留予定地の貯留ポテンシャル評価作業」を支援することで、脱炭素化に向けた取り組みを大きく促進する。
JOGMECは、2030年までのCCS事業開始を目指した、横展開可能なビジネスモデルを確立するために模範となる先進性のあるプロジェクトに対し、CO2の分離・回収から輸送、貯留までのバリューチェーン全体を一体的に支援する「先進的CCS事業」として、2023年度より支援を開始した。
2023年度は、国内で排出されるCO2を2030年度までに貯留開始することを目指す事業として7案件を選定し、CCSバリューチェーンの構築可能性について検討する事業性調査を実施した。2023年度の調査により、以下の点がCCSを実現する上での共通的な課題として認識されている。
●CO2の回収に必要な蒸気や電力等の用役コストの削減 ●船舶によるCO2輸送に必要な貯蔵タンクや船舶の国内建造能力の増強 ●CO2の貯留可能量、地下への圧入性、封じ込め能力、長期健全性の評価のためのデータ取得
以上の結果を踏まえ、2024年度からはCCSコストや地下貯留に係る不確実性の低減を図ることを目的として、CCSバリューチェーン全体の設計作業や貯留ポテンシャル評価作業を行う「先進的CCS事業に係る設計作業等」の公募を新たに実施し、今後重点的に支援を行っていく事業を改めて選定した。今後JOGMECは、選定した9案件に関して契約締結に向けた協議を開始する。
今回選定した9案件は、2023年度に引き続いて発電、石油精製、鉄鋼、化学、紙・パルプ、セメント等の多様な事業分野が参画し、産業が集積する北海道、関東、中部、近畿、瀬戸内、九州等の地域のCO2の排出に対応する。また、今回選定した9案件合計で年間約2,000万トンのCO2を貯留することを目標としており、うち5案件が国内での貯留、残り4案件がアジア大洋州での貯留を想定している。
詳しくは、→https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240628011/20240628011.html →https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_00191.html