研究情報
産総研、神戸大、カネカの研究G、微生物が作るプラでバイオプラ・ポリ乳酸の生分解性等の物性改善(2024.3)
産業技術総合研究所(産総研)、神戸大学、㈱カネカの共同研究グループは、バイオプラ・ポリ乳酸が抱えるもろさと生分解性の課題を、微生物により生合成される乳酸と3-ヒドロキシブタン酸の共重合体(略称:LAHB)をブレンドすることで克服したと発表した。
ポリ乳酸は、代表的なバイオ資源由来プラスチックであるが、力学的にもろい、生分解性が限定的、などの課題がある。今回、LAHBをポリ乳酸にブレンドすることで、ポリ乳酸の伸びの大幅な改善に成功した。また、LAHBのブレンドによりポリ乳酸の海水中での生分解が促進されることを見いだした。
石油などの化石資源を原料として製造される合成プラスチックは、現代生活を支える材料として広く用いられており、日本で年間約1000万トン、世界では約4億トンが生産されている。その一方で、環境中に流出したプラスチックによる環境汚染が問題となっている。また、化石資源を原料とするため気候変動の原因となるCO2濃度増加の要因ともなっており、これらの課題に対応する新たなプラスチック材料が求められている。
生分解性を有するプラスチックは、時間とともに水とCO2にまで分解されるため、その利用の拡大は環境汚染の抑制につながる。化石資源の消費を減らすという観点では、大気中のCO2を固定化したバイオ由来資源を原料とするプラスチックへの代替が有効だ。
このようなプラスチック材料として、ポリ乳酸があるが、バイオ由来資源の乳酸発酵により得られる乳酸をモノマーとして化学重合により合成されるバイオプラスチック材料。ポリ乳酸はポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート(PET)と同程度の物性を示し、透明性、生体適合性などの特徴を有することから、石油由来プラスチックの代替材料として利用拡大が期待されている。しかし、ポリ乳酸には、伸びにくくもろい、限定的な環境下でしか十分な生分解性を示さないなどの課題があり、利用拡大の妨げとなっていた。
詳しくは、→https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240326/pr20240326.html