研究情報

商船三井、モーリシャスでの海洋温度差発電事業化に向け、経産省事業に採択。海洋再生可能エネルギー実用化へ(2024.1)

 ㈱商船三井が取り組む、モーリシャスにおける海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion:OTEC)の事業化のための「海洋深層水複合利用モデルの実現可能性調査」の一環としての「取水管設置概略検討」等が、経済産業省の委託事業(令和5年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業)に採択された。

 同社は沖縄県海洋温度差発電実証試験設備の運営にも参画しており、通じて得た知見やノウハウも活かし、モーリシャスでのOTEC事業化検証を進める考えだ。(画像:沖縄県海洋温度差発電実証試験設備(久米島町))

 同社は、2022年5月から2023年5月にかけ、NEDOより受託した「モーリシャスにおける海洋温度差発電を核とした海洋深層水複合利用に関する実証要件適合性等調査」の中で、モーリシャス側開発主体の実行力、OTEC設備の設置条件等のレビューを実施し、候補地を絞り込み、同国の南南西部を適地として選定した。次のステップとして行う、その適地に取水管を設置する際の様々な条件を調査・分析し、候補地の妥当性を検証することが、この度経産省に採択された調査事業の主な内容となる。
 OTECは、海面における表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電を行う仕組みで、水深600m以深の海域から海洋深層水を汲み上げ、表層水との温度差でエネルギーを取り出す。気象に左右されないため、安定的に発電量を予測できることが特徴だ。さらに、発電で使用した海洋深層水は、水質も変化しないため、水産や農業、空調利用など、様々な分野で二次利用することができ、持続可能な発電システムとして注目されている。
 モーリシャスは、インド洋の熱帯地域に属するという地の利を十分に活用できることのみならず、2030年までに再生可能エネルギーの割合を60%まで引き上げるロードマップを策定し、OTECの導入に向けた実証プロジェクトを国家予算計画に含める等、国家戦略的にもOTEC導入に向けた下地がある。
 尚、本調査事業は、気候技術センター・ネットワーク(Climate Technology Centre & Network:CTCN)や緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF)の活用も検討することで、より確実で効果的なモーリシャス支援に繋がることが期待される。

詳しくは、→https://www.mol.co.jp/pr/2024/24005.html

 

2024-01-21 | Posted in 研究情報 |