研究情報

イノカ、「ブルーフォレストプロジェクト」立ち上げ。マングローブ林を環境移送し、都市部での研究・保全へ(2023.10)

 環境移送技術の㈱イノカは、マングローブの研究を促進させ、マングローブ林の資源を有効に活用しながら、人とマングローブ林の持続可能な営みをつくる「ブルーフォレストプロジェクト」を開始したと発表した。地球上の生物が排出するCO2の約30%を吸収するブルーカーボン生態系。サンゴを人工的に産卵させることに成功した高度な水環境の再現を実現する環境構築技術(=「環境移送技術」 )を活用することで、ブルーカーボンの象徴であるマングローブ林の価値を普及啓蒙し、過剰な伐採や開発により急激に面積を減らすマングローブの保全に繋げていく。

 赤道付近の地域に分布するマングローブ林は鳥やカニ・貝など多くの生き物が暮らす生物多様性の中心になっている。さらに人間にとっても、漁場や高波などから沿岸にある家々や農地を守る防波効果、カヌーツアーなどの観光も生み出す重要なスポットとなっている。実際に、マングローブ生態系が私たちにもたらす恵みを経済的な価値を金額に換算した場合、1ヘクタール2,000-9,000ドルとも試算されている。(Wells et al. 2006)しかし、ここ数十年間のマングローブ林の消失は住宅や工場、水産養殖、農地への転換などによる人間の経済活動によって急激に面積を減らしつつあり、その面積の約1%が毎年失われていると報告されている。これは世界の森林消失の3倍から5倍の早さだ。さらに、マングローブは地球温暖化による海面上昇などの原因でも影響を受けている。マングローブ林がなくなると、森林資源や水産資源に依存している沿岸地域の人々の生活に大きな打撃を与え、野生動物の生息場所や餌場が失われるだけではなく、大量のCO2が大気中に放出されることになる。

ブルーフォレストプロジェクトとして、主に下記3つのサービスの提供を開始する。

① マングローブ生態系を環境移送してオフィス等の共有スペースに提供するサービス「マングローブビオトープ」
② マングローブ生態系への影響評価やマングローブの新たな活用方法の研究や検討「海洋治験」
③ マングローブの生態について学べる環境エデュテインメントプログラム「マングローブラボ」

詳しくは、→https://corp.innoqua.jp/news/bb5o-fqch1my

 

2023-10-16 | Posted in 研究情報 |