研究情報
コニカミノルタと産総研等、バイオプロセス技術連携研究ラボ設立。次世代生産マネジメントシステムの実現へ(2023.6)
コニカミノルタ㈱、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、㈱AIST Solutionsは、「コニカミノルタ-産総研 バイオプロセス技術連携研究ラボ」を設立したと発表した。
これにより、バイオプロセスにおけるスケールアップ時のエンジニアリング課題の解決、また微生物による高機能材料製造を志向した次世代バイオ生産マネジメントシステムの実現を目指す。
生物由来の素材を用いたものづくりや、微生物などの生物の能力を活用して有用化合物などを作り出す「バイオものづくり」は、化石燃料を原料としないで物質の生産を行うことができることから、カーボンニュートラル実現のキーテクノロジーとして大きな期待が寄せられている。コニカミノルタでは、センシング技術、AI技術(機械学習、ディープラーニングなど)や、これらを組み合わせた画像IoT技術を利用して、自社のケミカル工場でもマテリアルズ・インフォマティクスおよびプロセス・インフォマティクスの導入を進めている。バイオプロセス研究ラボでは、これらコニカミノルタの技術をさらに進化させ、産総研の総合力を投入して融合させることで、従来にない複雑系物質生産におけるモニタリング技術を開発し、バイオものづくり実用化への課題である生産プロセスのスケールアップと安定生産に向けて取り組む。
バイオものづくりの課題のひとつに「スケールアップの壁」がある。物質生産能力を強化した微生物細胞「スマートセル」による生産方法では、微妙な条件の違いで微生物の挙動が変化して生成反応が変わってしまうため、試験管レベルで成功しても量産規模にスケールアップした際には、求められている歩留まりや品質を常に維持することは非常に困難である。また、このようなスマートセルに生産させた化学物質を「バイオ由来粗原料」として、従来の化石由来の原料と置き換えようとすると、生産工程での条件がそのまま適用できない場合が多く、また、バイオ原料固有の不純物による品質のばらつきによって最終製品の歩留まりや品質にも問題が生じてしまい、バイオ由来製品の製造プロセスのボトルネックになっている。
バイオプロセス研究ラボでは、試験管レベルと量産レベルでプロセスモニタリングして得られたデータを関連づけることで、量産環境における微生物の挙動を予測して工程管理に役立てる研究を行う。
詳しくは、→https://www.konicaminolta.com/jp-ja/newsroom/2023/0601-01-01.html