研究情報
インドネシアで気候変動に強靭な樹種の産官学研究、本格稼働。日本から国際農研、住友林業等6機関が参画(2022.10)
インドネシアを対象にした「気候変動適応型育種プロジェクト(熱帯林強靭化プロジェクト)」が本格稼働した。10月3日インドネシアのガジャマダ大学(ジョグジャカルタ市)で、インドネシア共和国環境林業省、日本大使館、JICAインドネシア事務所、JSTシンガポール事務所等の関係者が列席し、本プロジェクトの発足記念式典が開催された。本プロジェクトは外務省、JICAとの協議を重ね、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)に正式採択されている。日本、インドネシア双方の大学、研究機関とともに気候変動に対し強靭な樹種を共同で研究・開発し、林業のレジリエンス(復元力・回復力)を高め、持続的な林業の実現を目指す。
このプロジェクトに、日本からは、国際農林水産業研究センターが代表機関となり、住友林業、筑波大学、森林研究・整備機構 森林総合研究所、国立環境研究所、長崎大学の計6機関が参画。インドネシアからは、ガジャマダ大学が代表機関となり、国立研究革新庁が参画する。研究期間は、2022年4月~2027年3月の5年間。
インドネシアでは温暖化による気候変動によって、熱帯林を含む森林の減少・劣化が進むことが懸念されている。本プロジェクトでは将来の気候変動に適応するため、インドネシアの主な樹木(ファルカタ、フタバガキなど)を対象に、気候変動に適応できる個体を選んで増やす技術を開発する。具体的には、高温や乾燥に強い樹木をゲノム情報(DNA中の塩基配列、DNAの全ての遺伝情報)を手がかりとして選抜し、その優良個体のゲノムをもつ苗木を量産する技術だ。植林の段階では、気候変動による環境変化のシミュレーションを行い、選抜した優良個体を適した土地に植林することで、CO2吸収源・貯蔵庫としての森林の機能改善と強化を目指す。
詳しくは、→https://www.jircas.go.jp/ja/release/2022/press202210及びhttps://sfc.jp/information/news/2022/2022-10-07.html