トピックス,エネルギー編,バイオ燃料等

三洋化成、大豆油・パーム油由来バイオディーゼル燃料に最適化した低温流動性向上剤を開発(2026.4)

 三洋化成工業㈱は、バイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤『ネオプルーバー』について、大豆油およびパーム油由来バイオディーゼル燃料(BDF)に最適化した開発品『ネオプルーバー HBF-201』 、『ネオプルーバー HBF-301』を追加したと発表した。

 本開発品は、原料油脂の種類によって異なる低温特性や析出挙動を考慮し、特定のBDF条件を想定して設計したものである。現在、ラボレベルでの性能確認・適用条件の検討を進めており、原料の異なるBDFに応じた低温流動性向上剤の選択肢拡大につながることが期待される。

<研究開発の背景>

 バイオディーゼル燃料(BDF)は、植物油や廃食油を原料とする再生可能燃料であり、カーボンニュートラルなエネルギー源として普及が進んでいる。一方、主流である脂肪酸メチルエステル(FAME)系BDFは脂肪酸メチルエステルの混合物で構成されるため、低温環境で脂肪酸由来成分が結晶化しやすく、流動性低下やフィルター閉塞を引き起こすという課題がある。三洋化成はこれまで、こうした問題に対応するため低温流動性向上剤『ネオプルーバー HBF-101』を開発し、改善検討を進めてきた。しかし、BDF は地域ごとに利用される植物油が異なり、その原料の違いによって流動性向上剤の効果にも差が生じる。 特に主要原料である大豆油とパーム油は脂肪酸組成が大きく異なり、低温時の結晶生成挙動にも差があることから、それぞれの原料由来BDFに適した低温流動性向上剤の設計余地があることがわかった。中でも、パーム油由来BDFは飽和脂肪酸が多く結晶化が進みやすいため、低温流動性改善が難しいとされている。こうした背景から、当社は原料特性に応じた改良設計を行い、新たなラインアップを開発した。

<技術の概要>

 今回開発した『ネオプルーバー HBF-201』、『ネオプルーバー HBF-301』は、大豆油およびパーム油由来BDFの脂肪酸組成や結晶生成挙動の違いに応じて、ワックス結晶の生成・成長・凝集を抑制するよう最適化した低温流動性向上剤。これらの添加により、低温流動性の指標である目詰まり点(CFPP:Cold Filter Plugging Point)がいずれのBDFでも低下し、開発品の有効性が示された。 また、開発にあたっては、社内で独自に整備したマテリアル・インフォマティクス(MI)により、統計解析や機械学習などのデータ科学を取り入れることで、材料設計の最適化を効率的に行った。

<期待される効果>                                                

1)寒冷環境における燃料性能向上 原料特性に応じた結晶成長抑制により低温流動性の維持が可能となり、車両や機械の安定稼働が期待される。          

2)設備トラブルの低減 フィルターやポンプの目詰まりリスクを低減し、メンテナンス負荷の軽減につながる。

3)原料ごとの最適な選択が可能に 地域ごとに異なる原料由来 BDF に対し、最適な低温流動性向上剤を選択でき、安定的な利用が可能となる。

<今後の予定>

 主要なBDF に対応した開発検討が進んできたことから、今後は各地域の原料特性に応じた適用提案を進めていく。同社は『ネオプルーバー』シリーズを通じて、バイオディーゼル燃料の安定利用を支援し、温室効果ガス削減および持続可能なエネルギー社会の実現に貢献していく考えだ。

詳しくは、→https://www.sanyo-chemical.co.jp/archives/17006

2026-05-08 | Posted in エネルギー編, トピックス, バイオ燃料等 |