トピックス,エネルギー編

住友商事、印・最大手エタノール製造のTruAlt Bioenergyと協業、来年圧縮バイオメタンガス製造、販売へ。子会社の一部株式取得(2025.11)

 住友商事㈱は、2025年11月11日、インド最大手のエタノール製造企業であるTruAlt Bioenergy Limited(本社:インド ベンガルール、TruAlt社)と、同社子会社であるTruAlt Gas Private Limited(本社:インド ベンガルール、TGPL)の株式を一部取得し、協業することで合意した。株式取得後、TGPLは社名をTruAlt Sumi Gas Private Limited(TSGPL)に変更する予定。TSGPLを通して、インド国内に16基の圧縮バイオメタンガス(Compressed Biogas、CBG)製造設備を今後3年間で建設し、2026年以降の順次操業開始を目指す。1日あたりのCBG生産量は16基合計で約320トン(インドで約80万家庭分の1日あたりのガス使用量に相当)を見込む。CBGの原料には、サトウキビの搾りかすやエタノール製造時に発生する廃液をTruAlt社などから調達する。製造するCBGは、主に自動車燃料としてインド国内の主要な都市ガス供給事業者に販売予定である。また、CBG製造に加えて、バイオエタノール製造や、バイオエタノールを用いた持続可能な航空燃料(SAF)の製造など、TruAlt社との協働分野を拡張していく。

 住友商事は、インドでのCBG製造事業ならびにバイオエネルギー事業への参画を通して、今中期経営計画における強みを核とした成長事業のひとつであるエネルギーソリューション事業の成長を加速する。

●インドにおけるCBG供給の促進
 世界第3位のエネルギー消費国であるインドでは、今後のエネルギー需要増加を見据え、エネルギー自給率の向上を目指して2047年までのエネルギー自立達成を目標に掲げている。CBGは、農業大国でもあるインドで、作物生産時に廃棄される農業残渣などを原料として生産できることから、廃棄物の有効活用とエネルギー自給率向上の両側面に貢献する重要なエネルギー源と考えられている。インド政府は同国内のCBG供給を促進するため、自動車燃料と家庭用都市ガスへのCBG混合を義務化し、同国内の都市ガス供給事業者は、段階的に都市ガスへのCBG混合率を引き上げ、2028年には5パーセントのCBG混合率を達成する必要がある。そのため、インドにおけるCBG生産設備の増大は急務であり、CBG市場は拡大基調にある。

●TSGPLへの出資の狙い
 TruAlt社は、インド大手の砂糖製造企業であるNirani Sugarsなどと同じ企業グループに属する、エタノール製造のインド最大手企業。1日に約2百万リットルのエタノールを生産している。TSGPLは、TruAlt社含む企業グループの製造拠点から排出される、砂糖製造時に発生するサトウキビの搾りかすや、エタノール製造時の廃液を原料として調達することで安定的なCBG製造を見込む。住友商事は、主にCBGの販売、マーケティング活動において、これまで蓄積した知見やインド国内でのネットワークを生かし、両社の強みを掛け合わせることでインド国内でのCBG製造、供給を促進していく考えだ。

●今後の取り組み
 TSGPLへの出資後、まずはサトウキビの主要生産地である、インド南部カルナタカ州とマハラシュトラ州で4基のCBG製造設備の建設を開始するともに、製造拠点拡張の戦略策定や実現可能性の調査を行う。加えて、住友商事およびTruAlt社の知見や経験を生かし、バイオエタノール製造設備の拡大や、バイオエタノールを用いた持続可能な航空燃料(SAF)の製造も将来的に検討していく。また、2025年8月に締結された日印二国間クレジット制度に寄与することを目指し、TSGPLを通してカーボンクレジット創出に取り組む。

TruAlt社のエタノール製造設備(調印式翌日に訪問)

詳しくは、→https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/topics/2025/group/20251113

2025-11-19 | Posted in エネルギー編, トピックス |