トピックス,エネルギー編

仏・Air Liquide、工業規模でアンモニアの水素変換に成功、世界初。低炭素かつ再生可能な水素サプライチェーンへの道(2025.11)

 Air Liquideは、ベルギーのアントワープ=ブルージュ港において、世界初となる日産30トンのアンモニアから水素への変換能力を持つ工業規模のアンモニア分解パイロットユニットの稼働開始に成功したと発表した。この画期的なイノベーションは、アンモニアを水素に変換する実現可能な経路に欠けていた重要な技術要素を実証し、水素輸送の課題を解決するものである。世界規模のアンモニア分解プラントの開発に向けて工業規模で実証されたこの技術は、産業とモビリティの脱炭素化に向けた低炭素かつ再生可能な水素へのアクセスを可能にする。

 水素を長距離にわたって効率的に輸送する能力は、堅固なグローバル水素経済を構築する上で、永続的な課題である。 水素と窒素分子から生成されるアンモニア (NH3)は、貴重な水素キャリアとして注目されている。アンモニアは、太陽光、水力、風力などの再生可能エネルギー源やその他の低炭素発電が豊富な地域で、費用対効果の高い方法で生産できる。アンモニアの大規模生産、輸送、利用のためのグローバルインフラは既に整備されている。これにより、エネルギー資源が豊富な地域から世界中のエンドユーザーへアンモニアを輸出することが可能になり、そこでアンモニアは水素に「分解」され、脱炭素化を進める産業とモビリティにとって不可欠な要素となる。

 この新たな独自のアンモニア分解技術は、エア・リキードの低炭素・再生可能水素製造ポートフォリオを拡大するものである。このユニットの開発成功の一環として、プロセス安全性、材料試験、アンモニア分解のための先進触媒、アンモニア燃焼、効率的な分子分離など、重要な分野において重要な独自のイノベーションが開発された。このプロジェクトの成功は、エア・リキードが 研究室での研究から産業応用へと技術をスケールアップし、顧客向けにこれまでにないソリューションを開発する能力を示すものである。

詳しくは、→https://www.airliquide.com/group/press-releases-news/2025-11-13/world-first-air-liquides-innovative-technology-converts-ammonia-hydrogen-industrial-scale-paving-way

2025-11-15 | Posted in エネルギー編, トピックス |