研究情報
オランダ王立海洋研究所(NIOZ)等研究G、ポリエチレン(PE)を分解する海洋菌類を発見(2024.6)
海に生息する菌類は、まず太陽光の紫外線にさらしておけば、プラスチックのポリエチレンを分解することができる。オランダ王立海洋研究所(NIOZ:Royal Netherlands Institute for Sea Research)などの研究者らは、その結果を科学誌「Science of the Total Environment」に発表した。研究者らは、海洋のより深い部分には、プラスチックを分解する菌類がさらに多く生息していると予想している。
Parengyodontium albumという菌類は、海洋のプラスチックごみの薄い層の中で他の海洋微生物と共生している。NIOZの海洋微生物学者たちは、ユトレヒト大学、海洋クリーンアップ財団、パリ、コペンハーゲン、スイスのザンクト・ガレンの研究機関の研究者らと協力しこの菌類が、海洋に流れ着いたプラスチックの中で最も多いポリエチレン(PE)の粒子を分解できることを発見した。微生物がプラスチックを分解できることは、すでに多数の細菌が知られているが、この発見により、この菌類はプラスチックを分解する海洋菌類の非常に少ないリストに加わることになる。これまでに発見されている海洋菌類はわずか4種である。
研究者たちは、北太平洋のプラスチック汚染のホットスポットでプラスチックを分解する微生物を探しに行った。集められたプラスチックごみから、研究室で、ラベル付けされた炭素を含む特殊なプラスチック上で培養して海洋菌を分離した。主執筆者の NIOZ のAnnika Vaksmaa氏は、「これらのいわゆる13C 同位体は、食物連鎖の中で追跡可能だ。これは、炭素がどこに行くのかを追跡できるタグのようなもので、分解生成物で追跡することができる」と述べている。
詳しくは、→https://www.nioz.nl/en/news/fungus-breaks-down-ocean-plastic