研究情報
ファーマフーズ、卵殻膜ナノファイバー作製に成功。信大と医療・エネルギー分野応用研究へ(2023.6)
㈱ファーマフーズ(京都市西京区)は、信州大学先鋭領域融合研究群国際ファイバー工学研究拠点(IFES)との共同研究で、世界初の卵殻膜を用いたナノファイバーのメンブレン(膜)の作製に成功したと発表した。この成果を受け、同社とIFESは、産学間の業務提携(MOU)を締結し、卵殻膜ナノファイバーを用いた生体膜創傷被覆材をはじめとするメディカル分野と、スーパーキャパシタなどのエネルギー材料分野への応用を目指して研究を進めていくとしした。
現在、日本で消費される鶏卵は年間約263万トンであり、卵殻の量は約26万トン、その内25万トンは卵殻カルシウムであり、卵殻膜も約1万トンに上る。しかし、このほとんどが再利用されず廃棄されている。同社とIFESは、この卵殻膜の高度利用を目指した共同研究を2022年7月にスタートし、今回世界で初めて卵殻膜を用いたナノファイバーの作製に成功した。
作製したナノファイバーの応用として、まずは美容効果が優れたフェイシャルマスクを製造、販売する予定。近年、フェイシャルマスク、は「塗る化粧品」から「貼る化粧品」として注目されている。共同研究で作製したナノファイバーフェイシャルマスクは、顔に貼ったあと液体化粧品の噴射により全部溶け、溶けた成分は角質層まで浸透するのが最大の特徴になる。
一方で、高い比表面積を有するナノファイバーのメンブレンは、衣料品、衛生用品、フィルターなどのろ過用品、セパレーターや固体電解質などのエネルギー材料に応用されている。 そこで、同社の卵殻膜の加水分解物を用いて、IFESで開発したナノファイバー製造技術を応用することで、初めて卵殻膜をナノファイバーメンブレンとする技術を開発した。 今後は、卵殻膜ナノファイバー用いて、メディカル分野の生体膜創傷被覆材、エネルギー材料分野のスーパーキャパシタ等への応用に取り組んでいく考えだ。
詳しくは、→https://www.pharmafoods.co.jp/news/detail/448