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植物由来100%のペットボトルの実用商業化に向け、PEF含め関連技術の開発進む (2022.3)

   飲料用ペットボトル容器やポリエステル繊維の原料であるポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂は、モノエチレングリコール(MEG)とテレフタル酸から作られる。MEGを植物由来の素材とした生産技術は実用化されているが、テレフタル酸については、植物由来の原料からの製造は難易度が高く、化石原料から生産されてきた。 

 双日㈱は、2022年3月16日、Braskem S.A.(ブラジル)との間で、バイオマス由来のモノエチレングリコール(MEG)およびモノプロピレングリコール(MPG)の生産技術の共同開発を目的とした合弁会社を設立する契約を締結したと発表した。両社は合計3基の商業プラント建設を計画しており、そのうち1号機商業プラントについては2023年度中の最終投資決定、2025年中の運転開始を目指す。
 バイオケミカル分野のリーディングカンパニーであるBraskemは、バイオマス由来のMEG生産に重要な役割を果たす触媒技術を有する大手エンジニアリング会社のハルダートプソー A/S(デンマーク)と共同で2020年に完成させたMEG生産のデモプラントを活用し、バイオマス由来のMEG生産技術の開発を推進している。
 双日はBraskemとの合弁会社設立により、化石原料に代わるバイオマス由来のMEG生産の実現を目指すとともに、PET樹脂のもう一つの主原料となる高純度テレフタル酸の原料のバイオマス化も別途推進しており、両プロジェクトを掛け合わせることで100%バイオマス由来のPET製造の実現を目指す。また、化粧品原料などに用いられるMPGの植物由来化についても、推進すると発表した。

(双日 プレスリリースより)

詳しくは、→https://www.sojitz.com/jp/news/2022/03/20220325.php

 

 サントリーグループと米国バイオ化学ベンチャー企業のアネロテック社は、2012年より、植物由来原料だけを使ったペットボトルの開発に共同で取り組んできており、このうちMEGを植物由来原料で生成したPET樹脂を使用したペットボトルは既に実用化を終えた。しかし、もう一方のテレフタル酸の粗原料は、これまで植物由来原料からの生成は困難とされてきたが、2021年12月、アネロテック社が独自に開発した技術により、非可食のウッドチップからの生成を実現した。

(サントリー プレスリリースより)

 

 東洋紡㈱は、上記両社が共同開発した、植物由来原料を100%使用したペットボトルの試作にあたり、原料となる100%バイオPET樹脂の重合に技術貢献したと発表した。また、同発表と合わせ、100%植物由来原料でPET樹脂に比較して、高いバリア性能(酸素は10倍、水蒸気は2倍の性能)を持つポリエチレンフラノエート(PEF)フィルムの実用化に向けた取り組みも推進中と発信した。

詳しくは、→https://www.suntory.co.jp/news/article/14037.html?fromid=top&_fsi=66MuPQRt、                     →https://www.toyobo.co.jp/news/2021/release_1268.html                                       https://www.toyobo.co.jp/news/2016/release_140.html

 NEDOは、2020年8月より、カーボンリサイクル技術における実証研究拠点化と技術開発に着手しており、CO2の分離・回収が行われている広島県の大崎上島を実証拠点として進めている。そのプロジェクトのひとつとして川崎重工業㈱、大阪大学の実施体制で、将来的に需要増が見込まれるテレフタル酸の前駆物質のパラキシレンのCO2からの製造を目指し進めている。化成品原料であるメタノール合成、更にはメタノールから高収率でパラキシレンを製造可能な触媒およびプロセスを開発している。

詳しくは、→https://www.nedo.go.jp/content/100932836.pdf

 

2022-03-31 | Posted in トピックス |