トピックス,エネルギー編

旭化成、川崎製造所でクリーン水素製造用アルカリ水電解システムを生産する新工場建設へ。 重要拠点として整備(2025.10)

 旭化成㈱は、川崎製造所において、クリーン水素製造に用いるアルカリ水電解システムと塩素・苛性ソーダ製造に用いるイオン交換膜法食塩電解プロセスの両事業に対応した電解用枠・電解用膜を併産できる新工場の建設計画を正式に決定したと発表した。

 なお本件は、2024年12月18日に経済産業省の「GX(グリーントランスフォーメーション)サプライチェーン構築支援事業」に採択されており、クリーン水素製造用水電解装置の国内製造サプライチェーンの先行構築を後押しする枠組みを活用するものである。当初の計画通り、新工場は、電解用枠および電解用膜それぞれで年間2GW超の生産能力を備え、2028年度の稼働開始を予定している。これにより、既存の食塩電解プロセス向け設備と合わせて、年間3GW超の生産能力を構築する。

水素製造に用いるアルカリ水電解装置の全体像

 旭化成は、1975年よりイオン交換膜法食塩電解事業を手掛けており、膜、電解槽、電極、運転技術、モニタリングシステムに至るまで、食塩電解に関する幅広い技術を有しており、これらのすべてをワンストップで供給できるメーカーである。50年にわたり塩素・苛性ソーダ等の基礎化学品の安定製造を支え、国内外の産業基盤の維持・発展に貢献してきた。本事業は収益を支える重要な位置づけであり、今後もグローバル需要を背景に継続的な成長が見込まれる。
 また、食塩電解で培った技術を基盤に、同社は、今後立ち上がりが見込まれるクリーン水素製造用の水電解装置市場においてキープレーヤーとなることを目指している。2010年より、アルカリ水電解システムの大型化・量産化を見据えた技術検証と事業性評価を継続的に進めており、2025年度からは本格的に事業化フェーズへと移行している。

 このような背景から、新工場はクリーン水素製造用とともにイオン交換膜法食塩電解プロセス用の電解用枠・電解用膜を併産できる体制として建設し、収益基盤を維持・拡大しながら水素関連事業への先行投資を両立させる。水素社会形成を含めたGX推進を図る経済産業省と最大限に連携し、本プロジェクト推進を通じて当社が水電解分野でのリーディングサプライヤーとなることで、国内外のクリーン水素供給基盤と我が国の水素分野での産業競争力の強化に貢献していく考えだ。

<新工場の概要>
・所在地:旭化成㈱ 川崎製造所(神奈川県川崎市)
・生産品目:水電解・食塩電解用の電解用枠・電解用膜
・生産能力:2GW超
・投資額:約310億円(うち最大1/3は「GXサプライチェーン構築支援事業」補助金)
 (この本計画は設計内容の精査を継続しているため、上記投資額は変動の可能性がある)
・スケジュール:2028年度竣工・生産開始予定

詳しくは、→https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2025/ze251023.html

2025-10-25 | Posted in エネルギー編, トピックス |