研究情報

東京科学大の研究G、酸フッ化物光触媒による水素生成・CO2還元の効率を大幅に向上。(2025.7)

 東京科学大学(Science Tokyo) 理学院 化学系の研究チームは、特殊な無機材料である酸フッ化物をナノ粒子として合成する手法を確立し、これを光触媒として用いることによって、可視光のエネルギーで水から水素を生成する反応の効率を、従来の約60倍にまで高めることに成功した。この酸フッ化物を用いると、二酸化炭素をギ酸へと高速変換する反応も可能になる。

 研究チームは以前の研究で、同材料が水から水素を生成したり、二酸化酸素をギ酸に変換したりする反応において、光エネルギーを吸収して活性を示す光触媒となることを発見していた。今回の研究では、低温で実施できるマイクロ波合成法を駆使することで、高品質な酸フッ化物のナノ粒子を得られたため、光触媒反応の効率を下げてしまう電荷再結合を効果的に抑制できた。

 新たに合成して得られた酸フッ化物を水素生成反応に用いると、照射した光子の利用効率を示すみかけの量子収率が、400 nmの波長の可視光を照射した場合に約15%に達し、同種の酸ハロゲン化物[用語8]系光触媒の中で世界最高性能を記録した。二酸化炭素をギ酸へと変換する反応についても、約10%のみかけの量子収率を達成し、同様に最高性能を更新した。

 今回確立した合成法であれば、水素生成や二酸化炭素変換(ギ酸生成)において世界最高レベルの性能を示す光触媒を環境負荷の小さい手法で作製できる。この成果は、エネルギー問題解決に貢献する革新的材料の開発に大きく役立つことが期待される。

詳しくは、→https://www.isct.ac.jp/ja/news/a8olayqt2ux3

2025-07-31 | Posted in 研究情報 |