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東洋紡、米バイオベンチャー・DMC社と共同開発契約。プラ原料用の持続可能な基幹化合物の開発・商業化へ(2025.6)
東洋紡㈱は、米国のバイオベンチャー企業であるDMC Biotechnologies Inc.(米国コロラド州:DMC社)と、バイオものづくりに関する共同開発契約を締結したと発表した。両社は今後、合成生物学技術を応用しながら、汎用プラスチックの原料となるサステナブルな基幹化合物の開発と商業化を目指す。
「バイオものづくり」とは、遺伝子技術を活用して微生物や動植物等の細胞から有用な目的物質を生産する新しいテクノロジー。従来の化石資源を原料とした化学的な製造プロセスと異なり、多段階の化学反応を必要としないことや、自然条件下で製造可能などの特長から、温室効果ガスの排出量削減や化石資源原料の使用量削減などに寄与し、「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」の実現に貢献する「サステナブル(=持続可能)なものづくり」として近年ますます期待が高まっている。
「バイオものづくり」で生産される有用物質には、生分解性プラスチック、バイオ燃料、バイオ界面活性剤等がある。なかでも、汎用プラスチックの原料でさまざまな化学反応の中間体として機能する基幹化合物は、多用途での展開が可能なため、温室効果ガスの排出量削減に大きく貢献することが期待されている。一方、バイオプロセスにより製造する基幹化合物は、従来の化学的なプロセスによる製造物と比較して製造コストが高いという課題があり、より効率的な生産が可能となるよう、技術開発が求められている。
かかる状況を受け、東洋紡はこのほど、2022年3月に直接出資したDMC社と共同研究契約を締結し、高効率な生産が可能となるサステナブルな基幹化合物の開発と商業化を目指す。DMC社の有するスケールアップ適応性の高い代謝経路制御技術と培養による物質生産技術(「Dynamic Metabolic Control TM」)を利用することで、微生物の増殖と物質生産のプロセスを最適化。微生物の働きをコントロールすることで、目的物質となる基幹化合物の生産性向上を図る。東洋紡は、DMC社の設計により効率化された微生物を用いて、独自の培養・精製技術等を応用することで目的となる基幹化合物を量産化し、有用物質としての販売を目指す。将来的に、環境負荷の低いバイオマス由来の基幹化合物をフィルムをはじめとしたプラスチック製品の原料として活用することも検討していく。
詳しくは、→https://www.toyobo.co.jp/news/2025/release_1766.html →https://dmcbio.com/