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住友ゴムと住友大阪セメント、CO2再資源化人工石灰石を使用したゴム製品を開発(2025.5)
住友ゴム工業㈱は、住友大阪セメント㈱と共にCO2再資源化人工石灰石を使用したOA機器用ゴムローラーの開発に成功したと発表した。
本製品には、原料に用いる石灰石をCO2再資源化人工石灰石(廃棄物に含まれるカルシウム源にCO2を鉱物固定して製造)に置き換えた合成ゴムコンパウンドを使用した。住友大阪セメントとの共同開発によるサステナブルなゴム製品は、今回が初の取り組みとなる。
このOA機器用ゴムローラーは、世界の最先端技術が集う2025年大阪・関西万博の住友グループのパビリオン、住友館「ミライのタネ」にて展示中。
■共同開発の概要
OA機器用ゴムローラーとは、用紙の搬送、文字・画像の転写のため、コピー機やプリンターに用いられる部品の一つ。従来、石灰石の主成分である炭酸カルシウムは、セメント・コンクリートをはじめ、多くの産業分野で物性改善などを目的に「充填材」として幅広く使用されており、ゴム製品の製造過程でも充填材として用いられる。本製品では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの一環で、住友大阪セメントが開発したCO2再資源化人工石灰石に置き換え、既存製品と同等の性能を持つことを確認したことで、CO2再資源化材料のゴム分野での有効活用が可能となった。このCO2再資源化人工石灰石は、セメント製造プロセスで発生する排ガス中のCO2を、廃棄物に含まれるカルシウム源に鉱物固定して製造されたもの。
■今回の成果
本製品は、CO2再資源化人工石灰石を充填材に使用することで、「CO2排出削減」と「埋立処分場の延命効果」を兼ね備えた環境性能を実現した。
(1) 製造過程における「CO2排出削減」
本製品で使用するCO2再資源化人工石灰石には1kgあたり約420gのCO2を鉱物固定しており、住友ゴム工業が生産しているOA機器用ゴムローラーすべてに適用された場合、年間で約36トンのCO2削減が見込まれる。このようにCO2再資源化人工石灰石は、それ自身がCO2を固定化しているため、『単に混ぜるだけ』で高度かつ高効率なCCUを実現できる。
(2) 廃棄物の再資源化による「埋立処分場の延命」
現在、日本では埋め立て処分場の不足が深刻な問題となっており、廃棄物の減量・再資源化が急務となっている。本製品に用いられるCO2再資源化人工石灰石は、原料にカルシウムを含む廃棄物を再利用しており、廃棄物を減らすことで埋立処分場の延命に貢献できる。
■今後の展望
今後、製品への本格的な置き換えや量産レベルでの適用を目指す。さらに、タイヤ製品への適用拡大を検討していく。

CO2再資源化人工石灰石フロー図
詳しくは、→https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2025/sri/2025_039.html